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DBP Post mr-a/26 / Ep.IV [Maerklin-Reisezugwagen]

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▲ DBP Post mr-a/26 | TRIX T23150 Quelle TRIX

今年のメルクリンH0、TRIX H0から新製品として告知された郵便車が、28,2cmモデルとして初めての新設計モデルになります。久しぶりの郵便車両モデルの登場にやや興奮している私ですが、今まで27cmモデルの郵便車としてリリースされていたPost mrzとは少し異なる丸屋根の新しいモデルについて少し調べてみたくなり、手元にある資料を開いてみました。

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▲ Post mr-a/26(後期タイプ)の図面 Quelle: WAGEN Das Archiv der deuteschen Reisezug und Guterwagen / GeraMond

上画像は資料にあったPost mr-a/26の図面です。この図面や実車画像を見ると、一番の特徴だと思っていた丸屋根ではなく、Post-mrz同様の切妻屋根のスタイルでした。
つまり、この形式は丸屋根と切妻屋根の2つの屋根形状があり、1954年製造の初期タイプは丸屋根、1967年以降製造の後期タイプは切妻屋根の仕様のようです。

さて、この丸屋根仕様のPost mr-a/26について調べたことを記したいと思います。日本同様、既に鉄道郵便自体が廃止となっているドイツでは、全車現役から外れほとんどは廃車解体され、一部は売却、また民間の鉄道車両保存団体で保存されている車両もあるようです。そのうちの丸屋根の初期タイプの1両がウルムに本拠地のあるUlmer Eisenbahnfreundeで、そこのサイトには、この車両についての詳細が以下記されています。また、Wikipediaのドイツ語版にも、この車両についての記述があります。

Post mr-a/26は、1957年(Ep.III)に、Crede & Co、Maschinenfabrik Esslingen、Westwaggon AG Mainz-Mombach、Orenstein & Koppel、Rathgeber 及び Talbotにて合計72両が(UIC番号以前の形式である)Post 4mg-bl/26として製造されました。(ドイツ語版Wikiでは1954年からLHB社にて製造とあり、両記述の真偽については未確認)
さらに手元にある客車貨車資料集には1967年以降の切妻屋根仕様の後期タイプのみの記述しかなく、求めているモデルの初期タイプの情報を見つけることができませんでした。(この資料集はリフィルタイプのため、今は既に存在している可能性もあります)

さて、メルクリンやTRIXのページにはPost mr-aのみで「/26」がありませんが、この数字は全長を表すもので、UIC-Xに属しているこの郵便車は全長26.4m車両になります。そのため、28.2cmモデルのH0郵便車両として初めてのスケールになります。
室内は、おそらく1967年以降の後期タイプと同様であると思われるので、「Briefraum」(手紙仕分け室)、「Aussackraum」(郵袋取出し室)、「Packraum」(梱包室)の3つに分かれているレイアウトは変わらないと思われます。
また、車体側面外側には郵便ポスト投函口が設備されているため、おそらくこの列車の運用と時刻を理解していれば、駅から最も早い郵送が可能だったと思われます。

ちなみにまだリリース前のため、未確認ではありますが、メルクリン/TRIX両モデルの説明文には同じ記述があるため、運用などは同じ仕様としているようです。(以下はTRIXモデルから転記)

Bahnpostwagen Bauart Post mr-a der Deutschen Bundespost (DBP), eingestellt bei der Deutschen Bundesbahn (DB). Ausführung als Allespostwagen mit Abzugshaube für Kohleofen, seitlichen Luftansauglamellen und Luft-Umschalteinrichtung. Wagenlauf: Ulm – Friedrichshafen/Ravensburg. Chromoxidgrüne Farbgebung. Betriebszustand um 1978.

[日本語訳]
ドイツ連邦鉄道(DB)に所属するドイツ連邦郵便(DBP)のPost mr-a形郵便車両。石炭焚きストーブ用の排気フード、側面吸気ガラリ、空気切り替え装置を備えた多目的郵便車両として設計されています。列車運用: ウルム – フリードリヒスハーフェン/ラベンスブルク。クロムオキシドグリーンの塗装色。 1978年頃の仕様。

またメルクリンモデル(半室荷物車とのセット)の記述では以下記されています。

Post- und Gepäckbeförderung bei der Eisenbahn – das war einst gelebter Alltag und seit der Frühzeit des Schienenverkehrs eine naheliegende Selbstverständlichkeit. Als ab den 1950er Jahren die neuen, komfortablen 26,4 m-Schnellzugwagen die bundesdeutschen Schienen eroberten, beschaffte die Bundespost im Laufe der Jahre 685 dazu passende neue Bahnpostwagen. Der alten Tradition folgend gab es nicht nur einen Einwurfschlitz für Briefe, es wurde in diesen Fahrzeugen auch während der Fahrt an der Postverteilung gearbeitet. Und das nicht nur in Schnellzügen. Bis in die späte Bundesbahnzeit gab es feste Postwagenumläufe auch abseits der großen Magistralen, wie zum Beispiel in Eilzügen auf der württembergischen Südbahn Ulm – Friedrichshafen, in denen meist auch Reisegepäck befördert wurde. In jener Zeit reichte dafür aber in der Regel ein sogenannter Halbgepäckwagen. Diese Variante der 26,4 m-Schnellzugwagen (BDüms) war ab 1958 in 138 Exemplaren gebaut worden. All das ist längst Geschichte. Die über 150 Jahre währende Erfolgsstory der Post- und Gepäckbeförderung hatte in den Augen der modernen Bahnmanager Anfang der 1990er Jahre keine Zukunft mehr. Der letzte Gepäckschalter schloss 1995, Postwagen liefen noch bis 1997 – zuletzt aber fast nur noch in schnellen Post-IC-Zügen.

[日本語訳]
鉄道で郵便物や荷物を運ぶことは、かつては日常生活の一部であり、鉄道輸送の初期から当たり前のことでした。 1950 年代に新しく快適な 26.4 m の急行列車車両がドイツの鉄道に登場した際、連邦郵便局は長年にわたってそれらに合う新しい郵便車両を 685 台調達しました。古い伝統に従って、手紙の投入口があるだけでなく、移動中にこれらの車両で郵便物を配布する作業も行われました。旅客列車だけではなく、連邦鉄道時代後期までは、ヴュルテンベルク南部鉄道ウルム - フリードリヒスハーフェン間の急行列車など、主要路線から離れた路線でも定期郵便車の運用があり、通常は荷物が運ばれていました。当時は、いわゆる半室荷物車で十分でした。 26.4 m のD-Zug用車両 (BDüms) のこのバリエーション例は 1958 年以降 138 台製造されました。それは今やすべて歴史になっています。現代の鉄道管理者の目には、郵便と手荷物輸送の 150 年にわたる成功物語は、1990 年代初頭にはもはや未来はありませんでした。最後の手荷物カウンターは 1995 年に閉鎖され、郵便車両は 1997 年まで運行されましたが、最終的にはほぼPost-IC-Zugと呼ばれた高速列車のみ運用されました。

この新しいモデルを少し調べてみると興味深い事実が見えてきて、特に1967年以降の後期タイプもこのモデルをベースに容易に製品化が可能と感じました。こうしたバリエーションは、62系列客車のように丸屋根と切妻屋根の2種が既に実現しているモデルもありますので、こうしたちょっとした違いをバリエーションとしてリリースするのも期待してしまいます。
いずれPost mrzも28.2cmで用意して200Km/hで走るPost-InterCityの実現もできれば更に興味深いEp.IV時代の郵便列車世界が広がることでしょう。

参考サイト:
Bahnpostwagen 4mg-bl/26 / Ulmer Eisenbahnfreunde
Post mr-a/26 / Wikipedia(ドイツ語版)」

参考文献:
"WAGEN" Das Archiv der deuteschen Reisezug und Guterwagen / GeraMond München

[EDIT] 2024-04-22
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