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MOBの新型車両 [欧州鉄道]

スイスのZweisimmen - Montreuxを結ぶMOBは、その風光明媚な沿線風景を観光の目玉としてGoldenpassルートと呼ばれ世界中からの観光客を集めてきた路線です。しかし、そのルートは残念ながら1本の鉄道路線では結んでおらず、以下、3つの路線で成り立っています。

1. Luzern - Interlaken Ost (ZB)
2. Interlaken Ost - Zweisimmen (BLS)
3. Zweisimmen - Montreux (MOB)

また、この3つの鉄道路線はそれぞれ特徴のある異なる規格でできています。

1. ZB: 軌間1000mm アプト式
2. BLS: 軌間1435mm
3. MOB: 軌間1000mm

そのため、Luzern - Montreuxを通しで乗車する場合、最低2回の乗り換えが必要になります。(場合によってはBLSのSpiezでも乗り換え)
私自身も以前、このルートを早朝ルツェルンを出発して乗り換えながら終点のモントルーまで旅したことがあります。MOBの起点であるツバイジメンはドイツ語圏で、終点のモントルーはフランス語圏で文化の違いも旅をしながら味わうことのできる車窓が美しい路線でした。

この問題を解消するために以前からBLS路線を3線式にするなどの計画がされてきましたが、現実のものとはなりませんでした。
しかし、今年になって軌間変更地上設備が完成し、試験車両での軌間変更試験も行われ、長年の直通運転も可能となりました。いわゆる日本でも研究が進められているフリーゲージトレインということになります。しかも標準軌/狭軌の可変軌間車両は世界初であり画期的です。

そして先日MOBは、新しい狭軌/標準軌直通可能な新しいGoldenpanolamic Expressの完成予想図を披露、2020年からInterlaken Ost - Montreuxを直通する列車が走り始めるとのことです。そのデザインにはイタリア・トリノに本拠地を置くPininfarinaが起用されました。Pininfarinaは、歴代のフェラーリやランチア、プジョーなどの自動車デザインで知られるカロッツェリアです。最近は、鉄道車両を始め、航空機のインテリア、一般工業製品、住宅まで手がけています。スイスではSBBでRe460、ICNなどいくつかの車両のデザインを手がけています。以下に完成予想の車両の絵があります。

MOB新型車両 / Pininfarina

ここで疑問が湧いたのは、Luzern - Interlaken OstのZBはなぜ直通させないか..ということです。しかし、少し考えれば、この路線は急峻な地形を走るため、アプト式の車両であることが必要だということに気づきます。そのためアプト式かつフリーゲージというのは、今は技術的なハードルが高いということでしょうか。
しかし、遠くない将来にこの問題も解決され、Luzern - Montreuxを乗り換えなしで結ぶ、Goldenpanoraic Expressが登場するのを待ちたいと思います。

[追記]
今年5月にBLSよりアップされたZweisimmen駅の1435mm <-> 1000mmの軌間変換設備と試験車両による、軌間変換動作の映像が以下YouTubeで動画がアップされていますので、リンクを貼っておきます。

Die Umspuranlage der BLS und MOB in Zweisimmen

[EDIT] 2019-09-23
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seidoh

Akiraさん、おはようございます。
文中のリンク先が切れていたので、勝手に探して貼り付けてみました。

https://www.prnewswire.com/news-releases/the-pininfarina-designed-wonder-train-the-goldenpass-express-panoramic-train-of-the-mob

昨年、久しぶりにスイス現地を訪ねたのですが、観光とは縁の薄い生活路線でも車両の世代交代がきっちり行われていて、公共交通を大事にする姿勢に改めて頼もしさを感じました。ただ、純粋に趣味的に見れば、標準化・画一化が進んでいる点は寂しくもあり。ゴールデンパスのフリーゲージ新車も最新のデザインではありますが、沿線の牧歌的風景には、かつての温和な顔付きの車両が似合っていたような。
ところで、とりあえずBLSとZBを直通しないのは、ラックレール対応の問題もさることながら、インターラーケンを素通りして乗り通すお客は(鉄チャンを除けば)少数派、ということもあるのではないでしょうか。 
by seidoh (2019-09-21 10:16) 

seidoh

連投すみません。
先ほどのリンクも切れてしまうようなので、改めて別のリンクを貼り付けておきます。失礼しました。
https://kyodonewsprwire.jp/release/201909060522
by seidoh (2019-09-21 10:31) 

Akira

Seidohさん、こんにちは。

コメントありがとうございます。
本文のリンクを確認したところ、私のパソコン(ブラウザ)では表示されました。
ゴールデンパスルートを通しで乗った私はやはり鉄ちゃんだから?やはり少数派?
by Akira (2019-09-21 22:26) 

KDB

今日は、KDBです。
1000mmと1435mmの軌間可変は画期的ですね。スペインを除いて、日本でも中々実現しない軌間可変システムですが、是非詳細を知りたいところです。やはり1000mm軌間の多いスイスでは必要なんでしょうね。
それでーーー本題と離れますが、ちょっと雑談を。
アメリカ映画の Von Ryan's Express(邦題、脱走特急)をご覧になったことありませんか(Youtubeにもあります)。イタリア国内にいた連合軍捕虜がドイツへ移送される途中、列車を乗っ取ってスイス領内へ逃げ込む話です。元の小説では列車をミラノから北東へ向け、ティラノでポイントを切り替え、サンモリッツにつながる線路を走って逃亡しますが、これは絶対に出来ませんね(ティラノから先は1000mm軌間のレーティッシュバーンですからね)。映画ではミラノから架空の路線を北に向かい逃亡する話になっています。中々面白い映画で、イタリアの機関車が2両、うち1両はフランコクロスティ式が出てきます。
by KDB (2019-09-22 16:43) 

seidoh

Akiraさん
私も勿論「少数派」の一人です。

KDBさん、こんばんは。
ご紹介の脱走特急は知りませんでしたが、映画の世界では、名作と言われる作品でも、鉄チャンの目で見ると?な設定が多々ありますね。かのカサンドラクロスも、ジュネーヴを出てしばらくはRe4/4IIが緑のRICを牽いていい感じですが、途中からはルートも機関車も訳が分からなくなってしまって。
by seidoh (2019-09-22 22:13) 

Akira

> KDBさん、
このメーターゲージでの可変軌間は確かに画期的です。スイスの鉄道ネットワークは、SBBやBLSなどの幹線がメインルートとして機能していますが、メーターゲージもRhBをはじめとしてネットワーク化が図られています。ただ、その多くが枝線になっているのも確かで、ゴールデンパスルートのような狭軌-標準軌-狭軌というルートはちょっと異質なのかも知れません。ただ、この技術が確立されるとさらに鉄道ネットワークの結節が充実するので期待大きいと思います。

ところで映画の話、私はご紹介の映画は初めて知りましたが、そういう現実に即しながら架空を加えて演出するのは興味深いです。スイスの鉄道を舞台にした映画といえば、ソフィア・ローレン主役の「カサンドラ・クロス」が私のツボでロードショーを観にいった記憶が残ってます。
by Akira (2019-09-23 13:51) 

Akira

> Seidohさん
そうそう、スイスであんな朽ち果てた橋などあり得ないのですが、まさにフィクションらしい演出で、小学生だったか中坊だった私はスイスを良く知らず、結構リアルに感じてしまいました。走行中にスクリューカプラーを外す芸当などできるかと今も思っていたり..。

by Akira (2019-09-23 13:55) 

Akira

先ほど、本文に軌間変換設備とMOB試験車両の変換動作を収録した動画のリンクをアップいたしました。合わせてご覧いただければと思います。
by Akira (2019-09-23 16:58) 

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