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ÖBB Nightjet der neuen Generation [欧州鉄道]

欧州の夜行列車は、DBのCity Night Lineが撤退して、その後の空白期間を経てÖBBがその一部を引き継ぐ形で運行再開したNightjetが環境問題の意識向上の後押しを受け、商業的成功を収めたことで、路線を拡大。既にNightjetブランドは欧州で最も大きな勢力となったことは周知されています。
さて、そのような中旧来の車両のリニューアルも進め、新たに固定編成で高速化にも対応したSIEMENS製の新世代車両が登場し、まだ営業運転開始前ではありますが、既にÖBBの公式ウエブサイトで専用ページが以下アドレスで公開されています。

Nightjet der neuen Generation

これによれば、今回の新しいNightjetのカテゴリは以下の6種となります。

・Schlafwagen Confort Plus(WC/シャワー付き2人用寝台)
・Schlafwagen Confort(WC/シャワー共同2人用寝台)
・Mini Cabin (1人用ベッドの簡易寝台)
・Liegewagen Confort(4人用簡易寝台)
・Abteil Barrierfrei Confort(2人用車椅子+2人用介護者対応)
・Sitzwagen Confort + Multifunktionsbereich(テーブル付き4人向かい合い座席+多目的区画(自転車置き場など)

基本的には、今までの5種のカテゴリを基本に、より快適性を強化した新しいイメージのインテリアデザインを目指した設備になっています。今回最も注目しているのは、日本のカプセルホテルからインスピレーションを得て開発したというMini Cabinで、このカテゴリが加わったことで6種のカテゴリに刷新されたということです。

寝台車は、設備的に以前同様、個室内に洗面台が基本的に用意されていて、個室内のWC/シャワー室の有無が、ConfortかConfort Plusの違いになります。(Confortは、WC/シャワーが共同)いずれもモダンで明るいインテリアが特徴でベッドから続くソファタイプのシートと大型テーブルのレイアウトは、機能的でかつ居心地の良さそうな印象を受けます。

Mini Cabinは、これまでの簡易寝台の複数ベッドの区分室からベッドのレイアウトはそのままに、シャッターを使ってベッドを独立させて一人分のベッドの占有面積を拡大。ベッドの上にテーブルを設備し、そのスペースを可能な限り有効に活用できるアイデアが実に秀逸なデザインになったと評価します。
つまり、それまでの区分室では左右のベッドの間のスペースをなくし、そのスペースを各ベッドのスペースに使うことで、1人分のスペースをベッド+αとしている点にあります。靴入れや小物入れも各ベッドの数が梯子のスペースを使っているなど、まるでパズルのような無駄のない合理的なレイアウトを実現しています。

簡易寝台車には、今まで同様の4人用区分室も用意されていますが、これは1名から4名まで指定することが可能です。家族など1グループとして1区分室を占有するのは、同室の他者への気を遣う負担が少なく精神的にも良いでしょう。逆に1人や2人のリーズナブルな旅行ならMini Cabinは重宝するはずです。

同じ簡易寝台でも、バリアフリー対応の区分室は、車椅子利用者2名+介助者2名分のスペースとベッドが設備され、車椅子の動きに対応できる広い空間が約束されている上に、今までのバリアフリー対応個室と比べて、ホームからの乗降がステップレスで可能な一段低い低床になっている点が大きく異なる部分です。WCは隣接したバリアフリー対応で、最小限の動線で移動できるよう設備されています。

座席車については、これまでIC用の座席車両をそのまま活用した開放室、或いは区分室車両でしたが、今回は、大型テーブルを中央にレイアウトした4人用ボックスシートが並んだ開放室となり、自転車などが置ける荷物スペースに隣接した設備で、2等乗車料金だけで利用可能なリーズナブルな座席車を利用するアクティブな若者をターゲットとしてマーケティングした結果がこの設備に現れていると感じます。

いずれのカテゴリも、これまでの夜行列車の設備は快適性を1段も2段も向上させた印象があり、今後欧州の標準的設備とカテゴリになるのではないかと推測できます。
供食については、カテゴリ別に用意される内容が異なり、寝台車と簡易寝台、Mini Cabinには朝食が用意されていて、座席車はサンドイッチや暖かい夜食などが用意されています。各指定された場所に届けられますが、朝食が料金に含まれているのは寝台車だけで、前夜に配布されるアイテムシートに6つまで無料(7つ目からは別途料金)で選択し、車掌に渡すことで翌朝シートサービスされます。簡易寝台、Mini Cabinや座席車は、別途支払いで用意されるもののようです。

・寝台車の朝食(利用料金に含まれる)供食メニュー表
・簡易寝台、Mini Cabinの供食メニュー表
・座席車の供食

CNLやICNなどでは別途食堂車が用意されていますが、車両を移動することやキャパシティの問題など、シートサービスにしたことは、専用車両の用意がいらないことなど、夜行列車としてトータルで熟考した結果だと考えられます。

この新世代Nightjetは、車内設備だけが新しいわけではなく、初めて固定編成でプッシュプル対応になった客車列車というだけでなく、最高制限速度が230Km/hとなり運用各国の高速新線を走ることで、速度向上と途中駅での連結開放作業がなくなり、時短効果が生まれます。(一方でKurswagenがなくなりきめ細かな乗換えなしで目的地に行けるサービスは縮小される可能性があります)

さて、私たちが気になるのは、その運用開始と運用区間ですが、まず来月からWien Hbf / Innsbruck Hbf - Hamburg Hbfを結ぶ路線で開始される予定です。その後、以下の路線に徐々に路線拡大が行われるとのことです。

・Berlin - Halle (Saale) - Erfurt - Strasbourg - Paris (週3往復)
・Berlin - Halle (Saale) - Erfurt - Köln - Aachen - Brüssel (週3往復)

日本でも少しづつではありますが、夜行列車の拡大が今後行われるのではないかと想像できますが、この新世代Nightjetのカテゴリやインテリアデザイン、アイデア、供食スタイルに至るまで大変参考になると考えられます。

この新世代のNightjet、寝台車だけでなく、全てのカテゴリで試してみたいと思うのは、私だけでしょうね。
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