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欧州鉄道色とRAL [デザイン]

昨日、コメントで120.0形の塗装色についてのやりとりがあったので、今日はその鉄道塗装色について触れてみたい。
ドイツを始め、ドイツ語圏であるスイスやオーストリアなどの鉄道の塗装色は基本的にRAL規格の色票で設定されている。ここでも良くOrientrotなどの色名が使われているが、それはこのRAL色票の名称である。ドイツも戦前のDRG時代から戦後すぐ迄は、一部の優等列車や寝台車・食堂車を除いて地味な膿緑色Flaschengruenが車体色として使われていた。この色はドイツの深い森の色から来たものであると聞いたことがある。その後は同じ緑でも少し明るいChromoxidgruen(クロムオキシドグリーン)になり、70年代のミュンヘンオリンピックを契機にポップカラーと呼ばれる小石のグレー地に明るくポップな色調のカラーの試作があったが、一部のS-Bahnや気動車の色のみに留まり、客車はタルキス色(これはおそらくトルコブルーの独語のTuerkisから来た名前であろう)になった。このタルキスカラーと呼ばれる色は、TuerkisではなくElfenbein(象牙色)とOzeanblau(オーシャンブルー)である。その後、IR色となりVerkehrsrotになっているのであるが、現在は、一部クロムオキシドグリーン色でデビューした客車がIC/ECとしてICE色にもなっている。 さすがに60年代の客車がICE色ともなると老婆の厚化粧のようである。これをドイツ人の鉄道ファンの友人に話したら「まさにそうだ!」と同意されてしまった。色というのは汚い色などなく、組み合わせで心地よく美しい色になるかどうかが決まる。ドイツの透明感ある車体色、スイスの洗練された車体色、オーストリアの重厚さと軽快感を兼ね備えた車体色など、その国々や土地柄で色の変化を楽しめるのも欧州ならではである。

鉄道車輌向けRAL規格色票は、画像にある一般的なclassicと呼ばれるRAL-K5を使用していて、ドイツで仕事をしているときは必携であった。帰国後、この色票が懐かしくなり、ドイツRALのウエブサイトから通販をして購入した。これは模型の色を調べる時も重宝している。

参考サイト:

RAL色彩:https://www.ral-farben.de/


タグ:RAL
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コメント 10

きっかいくん

RAL企画の色票今回初めて見たけど、やはり日本で使っている日塗工や大日本インキの色票と微妙に色合いが違うものですねえ。コーラーの浴槽など見ていて感じてはいましたが、濃緑色が、ドイツの深い森の緑から来ているというのはさもありなんと思いました。私は竹中色という色票を好んで使っていましたが、日本の土や和紙の微妙な色合いを良く出していて好きでした。日塗工のを使わなくてはならないときなど、これとこれの中間の色を作ってくれとか言ってペンキ屋さんを泣かせたっけ。ビミョーなどうでもいいようなことだけれど納得いかなかったんだよねー。ところで話は変わりますが、親戚のS沢さんがAkira君にメールでドイツ語についての質問をしたいと言っていた件、遠慮してなかなか実行されてないけれど、そのうち突然メールが送られてくると思うのでよしなに。
by きっかいくん (2006-10-01 05:39) 

Akira

実務でRAL色票から色を選ぶのには結構苦労しました。というのは、微妙な色差があるトーンとそうでないトーンがあり、Pantoneなど細かく選べる方が良かったりしますが、車体色は紙媒体ではないので、RALが基本です。(RALの色はPantoneにもあります)それでも、あれだけのイメージの違う色をRALの組み合わせで出来るのですから、やはりやれば出来るという感じでしょうか?
さて、S沢さんの件ですが、親戚なのだし遠慮せずにと言ってください。私も可能な限りのことはしますので...。
by Akira (2006-10-01 10:14) 

NO NAME

Akiraさん、どうも。なんとこれが初コメント。遅すぎますね。
今日やっとPowerBookG4が帰ってきたので、最近PwMメンバーの中でも盛り上がりつつあるブログの数々を、ストレスなく見られるようになりました。
さて、色は人間が名前をつけて成立するものですから、どのような色合いに価値を見いだし何と名付けるかは地域や文化、民族性に大きく左右されるようですね。同じような色に見えても微妙なトーンの違いがあり、それが面白いところです。紙媒体の仕事で特色を選ぶ際に、私はよくDICの「フランスの伝統色」セットを使いますが、模型と同様に好みが合っているのかもしれません。
by NO NAME (2006-10-01 16:36) 

kuma

上のコメントは私です。名無しで失礼しました。
by kuma (2006-10-01 16:38) 

Akira

はい、名前を書かなくてもパソコンの名前で分かりましたョ。昨日はお疲れ様。楽しまれたようでうらやましい...。

さて、このRALですが、詳しい歴史は知りませんが、戦前のDRG時代からこの色票に基づいた色番号と色名があったのなら、かなり古いものと思います。もっともRAL自身は、ドイツの工業規格DINの一部みたいなものですし、彼の地の規格化が大好きな国民性から言って、その頃からあったと言っても驚くには値しないかもしれません。私は充分に驚きですが。ですから、RAL色票があのような、色の順番と色数でも当然と言えば当然かも知れません。私も個人的にDICのフランスの伝統色を持っていますが、これほど美しい色味から程遠いのがRALカラーと言えます。ただ、このRALカラーからでもしっかりと欧州らしい色の組み合わせが出来るのが素晴らしいです。
by Akira (2006-10-01 16:57) 

kuma

確かに、めくっているだけでインスピレーションが浮かびそうな「フランスの伝統色」とは異なり、それぞれの色一つ一つには艶やかさと言うか主張はあまり感じないのですが、組み合わせるとやはりドイツの色ですね。システマティックに使える感じ。やはり国民性でしょうか。
by kuma (2006-10-03 02:30) 

Akira

色と言えばドイツやヨーロッパを旅行すると面白い発見があります。これは、日本より緯度が高いからかも知れませんが、例えば同じ赤色でも北ドイツと南ドイツでは色の見え方や感じ方が違うことに気がつきます。北ドイツでは、真紅よりやや紫がかった赤色が綺麗に見え、南に行く程黄色がかった赤色がより美しく見えます。これは太陽の光に影響されるのでしょうが、日本ではあまり感じられないことでした。(もっとも北日本にはほとんど縁がないですが)
ですから、赤と言ってもOrientrotは、北ドイツの方が透明感を感じて美しく見えるのに南ドイツではそれほどではなく、オーストリアやスイスの鉄道色では、ちょっと黄味がかった赤色のVerkehrsrotで風景に対してとても美しいコントラストを醸し出していることはある意味発見でした。日本では、ちょっとやぼったい茶色に見えるノルウエーの鉄道色のエンジ色ですが、一般家屋の壁の色を見ても分かる通り、現地ではとても品の良い美しい赤色に見えます。
また、今は過去のものとなりましたが、春のドイツを旅すると車窓に沢山の大きな菜の花畑が見えます。若草色の野原一杯に拡がる鮮やかな菜の花色である黄色が美しい景色ですが、初期のBpmzのシート生地の色がまさにこの黄緑と黄色で、これを知る前はどうしてこの組み合わせ?と思ったものですが、Bpmzの人となって車窓一杯に拡がる菜の花畑を見たら納得がゆきました。
欧州鉄道の色は、その環境と大いに関係があると言う訳ですね。
by Akira (2006-10-03 09:11) 

kuma

色と緯度の関係の話、とても興味深く読みました。実見した中で言えば、確かにVerkehrsrotはオーストリアの山野の落ち着いた緑と、よく釣り合って感じられましたね。
日本は四季がありますから、やや事情が複雑です。比較的緯度の高い東北地方でも、夏の緑は大変明るく爽やかなものですし、南の沖縄本島でも東の方は本州に近い植生と地勢で、冬になれば色はくすんで見えます。さらに梅雨の時期は水蒸気というすばらしいスパイスが列島各地を覆って緑の美しさを際立たせますし。そもそも日本の山林の(見た目の)特徴は実に多種多様な種類の木が混在しているところで、ちょっと気をつけて観察すれば、木の緑にも様々なトーンがあることがわかります。
鉄道車両のエクステリア/色彩デザインは周囲と調和することのみが正解ではないかもしれませんが、こうして周囲の環境との関係を探ってみるのはとても面白いですね。
by kuma (2006-10-04 00:33) 

Akira

私が赤色と環境とのマッチングに感動したのは、スイスとデンマークの赤です。スイスの国旗、Brunig-BahnやRhB、SBBのTyp.ECのドアの赤は本当にそこの空気との調和が素晴らしく良く取れています。一方のデンマークの赤も国旗やDSBの旧CIに使われている赤もスイスとは違いながら、これまた素晴らしいです。イギリスを除いてヨーロッパは大陸ですから、伝統的に異なる国々が主張しながら協調しなければならないです。こんな時、各々の国が自然から発せられた伝統的な色を用いて他の国との違いを際立たせることは、当たり前なのかも知れませんね。
by Akira (2006-10-04 13:14) 

kuma

確かにそうですね。先日、街で見かけたギリシャ料理店の看板がギリシャのシンボルカラーの赤と青に塗られており、この青は日本で見るとちょっと中途半端な感じですが、かの国の風光には良く合った色です。こんな小さなことの一つ一つからでも、外国の文化を知ることができるのは楽しいですね。
by kuma (2006-10-04 20:58) 

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