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ドイツからの鉄道取材(5) [日本の鉄道]

10月17日

今朝は、6時に起床、6時半には出発である。ホテルの朝食時間前に出発なので、食事なしでの出発である。何故早く出発するかと言えば、強羅にある私立小中学校の優先車輌2両を付けた3両編成の登山電車が早朝2本箱根湯本−強羅間を走る。それを箱根湯本駅で撮影するためである。登山電車で宮の下から箱根湯本迄向かう。我々が乗った列車の折り返しがその優先車輌付き列車となった。小田急の電車が到着すると制服の生徒達が次々と走り込んでゆく。ちょっと他では見られない光景かもしれない。それ以上に標高550メートルもある強羅迄毎日通学というのが珍しい。

無事撮影を終えた我々取材チームは、遅い朝食を取りに駅前の喫茶店に入る。モーニングセットを2つも平らげるのは、流石ドイツの若者。その後登山電車の走行風景を取るためにタクシーを借り切り、まずは有名な橋へ。数カット撮影後、上へ登って3ケ所程度踏切りで撮影する。最後は、日本で一番古い(西洋式)ホテルと言われる富士屋ホテルに立ち寄り、許可を経てファサードを撮影。電車ばかりがモチーフでないのは、日本の環境や伝統もビデオに収めるためである。ホテルで撮影していると、昨日VSEの車内で取材した女性グループから声を掛けられた。偶然である...が、やはり彼女達は優雅な旅行なのだ。必然なのかも?

富士屋ホテルを後にし、再び箱根湯本駅へ。ここで昨日からお世話になっている箱根登山鉄道の広報マン氏と落ち合う。これから入生田の車庫へインタビューと取材に入る。ここで、箱根登山鉄道について少し説明せねばなるまい。箱根登山鉄道は小田原−強羅間を結ぶ路線だが、小田原−箱根湯本は狭軌の小田急車輌のみ営業運転している直流1500V標準軌の路線である。以前は小田原まで登山電車が来ていたが、信号設備の関係で現在は、箱根湯本−強羅間のみの営業である。ここは直流750Vである。そのため、車輌は2電源対応の設備であるのだが、現在は、営業路線の全てが直流750Vで1500Vは不要である。しかし、入生田に車庫があるため、直流1500Vの路線も通らねばならず、2電源は無駄にはなっていない。(車庫への行き来のためだけにある2電源設備なのもなんだか..とも思うが)
また、有名な3線式の線路もここ迄あり、小田原方面は撤去作業が進んでいる。

入生田の検車庫では、旧型電車に新しい台車を取付作業しているところであった。台車は新品ということで、当分旧型電車もなくなることはないのであろう。ここでインタビューを行う。4種類のブレーキや急カーブを曲がる時に磨耗を少なくするための水撒き装置など、独特の車輌設備を案内してもらう。RhBから贈られたというBernina Expressのサボも見せてもらった。
車庫の外観を撮るために外へ出るとちょうどVSEが箱根湯本から発車したとのこと。運が良い。上手くVSEの走行撮影も出来た。

ここの取材も箱根登山鉄道の職員の皆様の御協力のお陰で滞りなく終わり、再び箱根湯本・強羅へと広報マン氏と一緒に向かう。強羅では、遅い昼食を駅ナカ?のスイス風?カフェ"St.Moritz"で取る。ここから早雲山までケーブルカーで行き、ここで広報マン氏と別れ、ロープウエイで大涌谷へ行き、運休中の桃原台までのロープウエイに代わる代行バスで元箱根行きの船を目指すのだが、何しろ取材チームにとっては、どこも興味深いモチーフばかりで、中々先へ進めず、結局代行バスも間に合わなかった。次のバスでは船の時間が間に合わないので、タクシーで桃原台まで飛ばす。何とか船に間に合い元箱根へ。この船は有名な海賊船スタイルのものである。遊覧船らしく様々な解説に耳を傾けながら秋晴れの快適な船旅気分になる。これが仕事でなかったらどんなに良いか?と正直に思う。

元箱根では期待した富士山の姿が見えず、今日の宿泊先に行く交通手段を探していたら、箱根登山鉄道取材で借り切ったタクシーの運転手さんから声を掛けられた。偶然であり、すぐに決まった。彼の運転で宿に向かうことになった。船で移動中、芦ノ湖畔にある小さな鳥居を見つけていたので、そこを少し撮ってから宿を目指すことになった。その水中から出ている鳥居にある神社は九頭龍神社と言い、その昔多くの災害に苦しめられていた村人は、湖の神様の怒りを鎮めようと毎年若い娘を生け贄として捧げていた。生け贄になった本人やその両親の悲しみは如何ばかりかと思ったあるお坊さんが、湖水の神様の怒りを鎮めるために努力をし、最後には9つの頭を持つ龍の姿になった神様は、お坊さんに詫びたという。それからは生け贄を捧げなくとも良くなったが、それ以来毎年赤飯を捧げる様になったという言い伝えのある場所である。例祭以外は人もいないような小さな神社であるが、静かで美しい日本的な絵が撮れたと取材チームは喜んだ。

そしてようやく今日の宿に到着した。ここももちろん温泉付きである。部屋は洋室ツインのシングルユースで夕食も和洋折衷の会席料理と豪華であった。しかし、何故だかインターネットに接続できない...。

参考サイト:
箱根ロープウエイ http://www.hakoneropeway.co.jp/
箱根海賊船 http://www.hakone-kankosen.co.jp/
箱根仙石原 ホテル花月園 http://hotel.kagetsuen.net/leisure.html


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コメント 2

kuma

元気に活躍する旧型車両をはじめ、存分に箱根登山鉄道を取材できたようですね。ドイツのファンにもアピールするのではないでしょうか。私など家内と出かけると、早朝に一人で宿の最寄り駅から2駅くらい往復してみたりするくらい、好きです(^_^ゞ
乗り物好きにもファミリーにも楽しく、もちろん山の空気を存分に味わうことのできる箱根は四季を通じて魅力的ですが、ちょっと紅葉には早かったかも。仙石原のススキならそろそろかもしれませんが…撮影されましたでしょうか。
では、では。
by kuma (2006-10-19 01:25) 

Akira

今回の箱根の取材は、お天気も良く温泉も満喫しましたが、私はどうもゆったりとした旅気分にはなれませんでした。映像を見ている人には、いかにもゆったりを演出するわけですが、次から次へと時間に追われながらの仕事です。ドイツ人チームは時間の使い方が上手いというか、我々のフォローが上手?というか?適度に楽しむ術を心経ています。オフモードと仕事モードと切換えが早いのには感心すべき部分がありました。
日本人もこのような術を憶えれば、団体旅行ももっと充実したものになるかも知れません。それには臨機応変が大切ですね。
by Akira (2006-10-20 09:45) 

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