29845 DB V160 029 / Ep.III [Maerklin-Lok]
このモデルは、以前紹介した量産先行形(通称LOLO)のV160 003(2864)ではなく、量産形のV160形です。このモデルはMärklin Systemsが発表される前の2000年のクリスマスに合わせて1年限りの限定でリリースされたPremium Startset(29845)同梱機関車の1台です。そのため、このモデルには、c90(60902)デコーダーと2種類の警笛を奏でるサウンド基盤、そしてスピーカーが内蔵されています。機関車が2両と複数の客車/貨車が同梱されている当時としては画期的でお買得なモデルセットでもありましたが、メルクリン始まって以来のControl 80fが同梱されたデジタル大型スタートセットとなったもので、当時のスタートセットとしては最も豪華で、ファンの間ではメルクリンH0のデジタル化に弾みをつけたこともあって大きな話題にもなりました。
このモデルは、Ep.IV仕様の216形(3075)として1968年からリリース開始され、リファインを続けながら生産されていましたためメルクリンでも長い期間リリースされていた安定した人気のディーゼル機関車です。汎用性が高いこともあってか、ちょっと地味な印象は受けますが数多くのバリエーションがある機関車モデルです。
画像は前頭部1位と2位側側面です。運転室窓の大きさが異なりますが、これは1位側も2位側も非対称なので同様です。運転席側の窓数が多くレイアウトされていて、当時の人間工学の粋を集めてパッケージされたものであると聞いています。
このモデルは、私にとって初めてのデジタルのV160形でありましたが、この機関車で遊んで改めてメルクリンらしいモデルであることを実感しました。このモデルは、細かな突起がほとんどないので、手でボディを握ることができ、非常に扱い易さを実感できます。その割にこのモデルは当時としては多芸でもあったことから、レールを敷くとまず露払い機関車として動かす程、簡単に走らせる機関車として重宝しました。それ以来私はこの機関車モデルのファンになり、車体番号の違うmfxデコーダー付きV160 026(29855)も手に入れてしまったほどです。
車体側面のボジティブDBマークと車体番号「V160 029」です。残念ながら手元にはこの個体番号の車暦がありませんが、当時蒸気機関車の無煙化に大きな役割を果たしたのもこのV160です。BR 01やBR 44などが活躍した幹線は、V200.0やV200.1が担い、BR 03, BR 23, BR 38.10 (pr P 8), BR 39 (pr P 10), BR 50, BR 57 (pr G 10) und BR 78 (pr T 18) などが走る亜幹線ではV160がその役割を果たしました。先行量産車10機の成績が良かったのでしょうか、1964年から68年にかけて量産形機関車(V160 011-224)が製造されました。
V160形の製造メーカーはKRUPP, Henschel, KHD, Krauss-Maffei そして MaKです。モデルの029号機はKRUPPの製造です。
REV表記は、1965年5月9日です。印刷精度は2000年として標準的なレベルだと思います。
実車の軸配置はB'B'の4軸駆動です。モデルはDCMモーターからのギア駆動で2軸が駆動します。もう一方の台車には集電シューを履いています。
屋根を上から見たところです。V160(216)は、形状が似ている218形と比較して煙突がなくルーバーも単純な形状ですが、全長が若干短いことと、屋根の形状が異なるところが番号表記以外で見分ける部分です。
屋根中央の黒い部分がマイナスネジで、これを外すと樹脂製ボディが外せます。この時代のディーゼル機関車や電気機関車モデルはボディが樹脂製ですが、台車のモールドされた部分を除けば下回りはダイカスト製で十分な重量があります。1960年代のモデルがベースですからこのように単純な構造ですが、一方で目立たなくする努力も兼ね備えているところがメルクリンらしさと言えると思います。
ボディを外したところです。漸次加減速が可能となったc90デコーダーに小さなスピーカーが付いています。アドレスは8桁のDIPスイッチ、漸次加減速値とサウンドの音量はマイナスドライバーを使って調節します。まだフルサウンドの時代ではなく、2種の警笛音など若干のサウンドが可能でした。それでも画期的で、スタートセットのような(単品購入より)廉価で購入できるモデルとしては破格のレベルと言えます。
▲ 手前が029号機で奥が026号機です。外観からは見分けはほとんどつきません。
現在は、この同色同形状同仕様のV160形2機を重連にして、さらに先日紹介した、mfxディーゼルサウンド荷物車(49964)を次位に連結させ、CSを3重連設定で1つのコントロールノブで操作させると2台の機関車からのディーゼルサウンド(実際は1台の機関車と次位の荷物車)のデュエットを奏でます。それはなかなかの迫力で素晴らしいです。
実際にV160形ファミリーは、汎用性が高く貨物列車から近郊列車、長編成のD-Zug、豪華なF-Zug迄幅広い運用をこなしていたので、様々な編成や重連などが楽しめます。
今年は、念願の218形も金属製ボディでリリースされます。こちらは、原色Ep.IVなのでタルキス色やTEEカラーの客車を重連で運転できる日が待ち遠しいです。V160形重連と218形重連列車の交換シーンなどを想像するだけでワクワクしますね。
参考サイト:
V160ファミリー開発の変遷 / Railways in Germany
V 160 – DB-Baureihe V 160
もう218もいくつかあってやめとこうかと思ったのですが、こんどのSiberlingeとのセット、客車の新しいレタリングと機関車の色の似合い方がすばらしくて、やっぱり発注してしまいました。
私の留学中はもう実車は使われ始めていたようですが、当時見かけた記憶がありません。V200はいい機関車だけど燃費やその他コストがかかりすぎるので製造をやめたのだそうですね。216はいわばその後継車Familyなのでしょうか。
by klaviermusik-koba (2007-06-08 12:36)
216(V160)形もメルクリンでは息の長いモデルですね。樹脂製ボディであってもメルクリンらしさが魅力だと思います。良く似た形状に218形があり、こちらもメルクリンからリリースされていますが、216形を少しばかり「らしく」したモデルでした。
今年の新製品の218形は、新設計の金属ボディなので「正しい」モデルです。
V200は、エンジン2基積んでいますから、長大編成の幹線向きと言えますが、短編成ではオーバースペックになるのかも知れません。218形はコンパクトな分出力も小さいですが、216形をベースにターボを搭載して最高速度のアップと600馬力アップしていますから、短編成には単機で、長編成には重連で運用され効率の良い機関車と言えるのではないでしょうか。
by Akira (2007-06-08 15:31)