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Die Einheits-Personen- und Gepäckwagen der Deutschen Reichsbahn [欧州鉄道]

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先日から事務所の部屋の引っ越しをしているのだが、毎日少しづつ本棚の中から本を取り出していると、暫く見ていなかった写真や資料などが出て来て..それを眺めて..ちっとも前に進まない毎日になってしまっているのである。

そんな中、私が初めて買った客車本..と思う1冊の本が上画像の「ドイツ帝国鉄道公社制式客車荷物車(1921-1931)」である。
これは私がKarlsruheで大学生だった頃のこと。トランジットモールであるKaiserstrasseの本屋の店先に売れ残りの本が安くなってカゴに置いてあったのを見つけたのがこの本である。ドイツの客車に興味があったものの、戦前の車輛には全く疎かった私には、その価格の安さが魅力で思わずレジに持って行ったのである。

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この本の著者は様々な客車資料集の編纂で有名なJoachim Deppmeyer氏である。1921年から31年に掛けて製造されたドイツ帝国鉄道公社の旅客車と荷物車を写真と図面、解説が記されている他に当時の社会など、当時の客車製造の出来る背景が文章を中心に記されているのが興味深い。その良い例が1913年と1925年に1等車から4等車迄の乗客割合を記した表であるが、当時の帝国鉄道公社が公表した数字と、1926年に実際利用された等級利用割合の乖離が数字で表されているのが興味深い。
特に現在でいういわゆる1等車にあたる1/2等車の割合が合計で1,5%以下であり、3等車ですら16,88%で、Holzklasse(木材級)と言われる最下等の4等車が81,69%であることが今の乗客利用割合からすれば驚くべき数字である。これを当時の鉄道会社の公表割合で列車の等級組成したならば、さぞ1〜3等車はガラガラで、4等車に乗客が集中した事はすぐに理解できよう。
これは、現代のドイツでも少なからず言えたことで、最近の「Metropolitan」の失敗が同じ要因によるものであろう。ICE3の初期もその一端を覗く事ができる。つまり、1等の割合を多くし過ぎ(または1等のみ)とするような考え方は、1等だけを利用している人間の考えであるように思う訳である。ここは日本のような総中流(的?)な考え方の方が良いのかも知れない。

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この本が売れ残った原因を考えれば、おそらく1931年迄というところにあるのかも知れない。ファンに人気のあるGruppe35やSchürzenwagenのGruppe39、また食堂車も掲載されていないところが問題なのかも知れない。該当する車輛を掲載している同じシリーズの本もあるのかも知れないが、残念ながら安売りカゴにはなかったのである。

この本は、非常に豊富な記述と少ないながらもメーカーの形式写真などが多用されていて貴重な一冊である。以下はアマゾンジャパンへのリンクである。

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コメント 7

カゲノ

こんにちは。
古い客車の写真はネットでもなかなか転がっていないので貴重なものですね。
先日、天賞堂でEJ特集新刊の「RHINGOLD」を購入しましたがこれにもEPIIのRHINGOLDの写真、車内イラスト(カラー)があり当時の雰囲気が伺えます。この本は特に戦前、50年代、60年代の写真が豊富でAkiraさん好みかなと思われます(既に入手されているかもしれませんが)

http://www.eisenbahn-journal.de/art/541101.html

by カゲノ (2011-03-27 08:52) 

Akira

カゲノさん、おはようございます。

この本は、全ての欧州鉄道ファンに薦められるという類いのものではありませんが、この時代の客車を調べたい人には重宝するかもです。
ご紹介のEJの「Rheingold」は、表紙からしてそそられますね。やはりイメージが膨らむ表紙は大切です。ちょっと悩みます。
by Akira (2011-03-27 10:09) 

東西急行

Akira様、東西急行です。

>特に現在でいういわゆる1等車にあたる1/2等車の割合が
>合計で1,5%以下であり、3等車ですら16,88%で、Holz
>klasse(木材級)と言われる最下等の4等車が81,69%で
>あることが今の乗客利用割合からすれば驚くべき数字

同時代の省鉄を思わせる様です。然も優等車運賃の値引きを
しなかった点迄同じであった様にも思えますし、隣国(特に
仏蘭西)との相違も気に掛かる所です。
by 東西急行 (2011-03-28 22:35) 

Akira

おはようございます、東西急行さん。

欧州での鉄道旅客運賃は、現在の日本のそれと異なり等級別の運賃が採用されていますが、確か戦前では日本も同様だったような気がします。4等車にほとんどの乗客が集まる状態では、値引きも何もあった状況ではないでしょうね。移動できさえすれば良いという部分では、当時の日本もドイツも同様であったような...。
隣国についても同じであったと思われます。気になるのはチェコあたりで、戦前ではドイツより富裕層が多かったと聞いています。
by Akira (2011-03-29 08:49) 

P-ZUG

Akiraさんこんにちは。
私は同書の1932-1937だけは持っております。例によってバーゲンでカゴの中にあったものを入手しました。台車の写真も単独で載っていますので中々興味深いです。個人的には1938-1945のまとまった本が欲しいところですが、同シリーズには無いのでしょうか?

by P-ZUG (2011-04-01 17:28) 

BOAC VC10

「hechtwagen」gruppe21のあたりから、切妻屋根のgruppe28、
そして「RHINGOLD1928」あたりが対象となれば、
戦前型客車でもかなり重要な時期ですね。羨ましいです。
(同じDeppmeyerさんの本を持ってますが、戦前型で一冊なので少し物足りないです)
更にP-ZUGさんの情報となると、シリーズ全体で何冊出ていたのか気になります。
流石に現時点でシリーズ揃いでは入手困難でしょうね。

貴重な資料や思い出のお品で手が止まるのはみなさん同じですね。
また面白いものがあれば見せてください。
by BOAC VC10 (2011-04-02 09:56) 

Akira

おはようございます。レス遅くなり申し訳ないです。

> P-Zugさん
この本の続きをお持ちなのですね。1937年迄とすればSchuerzenwagenは、出ていませんね。Rheichsbahnは戦時まであったので45年迄はあるでしょうね。見てみたいですねぇ。

> BOAC-VC10さん。
hechtwagenもRheingold専用客車も掲載されています。面白いのは、Rhingold専用のGr.28客車で、荷物車以外では当初てっきり厨房付き(SA4üK-28/SB4üK-28)となし(SA4ü-28/SB4üK-28)の1等2等合計4種類だけかと思っていたら、2次車らしき2等車の2種(SB4ü-29/SB4üK-29)なんてもあるのですね。見たところあまり違いはわかりませんが...。

まだ、欧州鉄道ガラクタ類は多少ありますので、追々お見せ出来ると思います。
by Akira (2011-04-04 09:42) 

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