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伊香保電車の移設保存 [日本の鉄道]

以前当ブログで、伊香保電車(いわゆる路面電車)について写真集の記事を書いたことがある。この路面電車、もう半世紀も前に廃止され既にこの電車が走っていた姿を知っている人は少なくなっているのだが、実は私が役員をさせて頂いているぐんま日独協会の名誉会長のご自宅の庭に、この路面電車の車体がある。残念ながら下回りはなくコンクリートの台座の上に車体が鎮座している格好である。とは言え、私が見たときは、保存状態は極めて良い。時々来客があると、この電車の車内に案内されるようなので、動かないものの、そこそこ使われている状態のためかも知れない。

その路面電車が伊香保峠三差路のミニ公園に移設、保存されることになった..と今日の地元新聞に掲載されていた。(以下、ウエブ版サイトページ)

http://www.raijin.com/ns/9613608528229268/news.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

最近、部屋の片付けで発掘した撮りだめたEF58の写真を見ながら、現存する同機について調べてみると、車籍が残っているのは61号機のみで、あとは全て廃車扱いである。大宮や名古屋の鉄道博物館、横川の鉄道文化むらには静態保存されたEF58がいるが、その他は数機しかなく、しかも前頭部のみだったり、車体が切られている保存機もあり、しかも個人所有の保存機(36号機)は、オーナーが故人となったこともあり荒廃が進んでいる画像を目の当たりにし、鉄道車両の保存の難しさを感じたのである。36号機は、35号機と共に2両だけの側面7枚窓だけに、その荒廃ぶりは残念でならない。

さて、話を伊香保電車に戻すと、この唯一の保存車体も伊香保温泉の活性化という新しい役割を担って個人所有から渋川市の保管となり、一般に公開されるという。心配なのは下回りをどうするのか?という点や、雨ざらしになるかどうかという今後の保存管理にも興味は移るのだが、個人所有から行政の管理になるというのは基本的に現状では最善ではないかと思うのである。現所有者である名誉会長も既にご高齢であり、先に述べたEF58 36号機のような惨状になると手の施しようもなくなってしまう。

昭和30年代迄、高崎 - 渋川、前橋 - 渋川、そして勾配区間の渋川 - 伊香保を走ったこの電車が、確かに存在したという唯一のリアリティある証拠でもあるこの車体が、今後長く良好な状態で伊香保を訪れるお客様を見守って欲しいと願わずにはいられないのである。
移設前にもう1度写真を撮りに行きたいと感じた路面電車である。

タグ:伊香保電車
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コメント 2

Y.H

Akiraさん、こんばんは。

日本ではボランティア頼みの保存が多いと聞きます。
EF58は、電気機関車ということもあり、なかなか力が入らないのでしょうか。

今回の伊香保の試み、うまくいくといいですね。
伊香保については行く機会がなく、よく知らないのですが、有名な温泉地。一つの観光の呼び水となるのでしょうか。

これだけ環境についても考えられる時代。
温泉地ならのんびりと歩きたい人も多いと思います。
榛名山の山腹ということですから、パークアンドライドみたいにできたら…、そして、路面電車で名所をまわれるようにできたら…と考えてしまいました。
石段のところだけではないでしょうし、車が急に来なくなるだけで、心からリラックスできる温泉になるような気がします。

万葉の時代から見た今のように、夢のまた夢…かもしれません。
by Y.H (2013-02-15 23:19) 

Akira

Y.Hさん、おはようございます。

確かに仰る通りで色々な部分で制約の多い日本では、中々車両の保存に関しては難しいですね。上下分離されている欧州では、個人が動態の機関車を所有できたりもしますが、それとて本線上を走らせるには検査が必要ですし、大変お金の掛かることです。なのでその多くが民間団体なのでしょう。

伊香保電車については、車体だけとはいえ、今迄良好な状態で保存出来たことを良しとしたいです。そしてこのタイミングで行政による保存と管理がされる訳ですから、何とか現状のように良好な状態で保存され、かつ一般の目に触れることで、その歴史と価値を伊香保温泉の呼び水の一つになって欲しいものと期待しています。

伊香保温泉は、まだ軽井沢が一般的ではなかった頃、東京からの近場の温泉地として賑わったそうです。伊香保電車もそのような賑わいのある温泉地への湯治客を乗せて渋川駅との間を行き来したのでしょう。
ちなみに、昨年家族と伊香保温泉を訪ねたのですが、ヒットした温泉映画のロケがあったこともあり、平日にも関わらず以前より若者の訪問者も多く、活気づいていたのが印象的でした。石段街も下段を延長し、整備されていたのが良い印象でした。
by Akira (2013-02-16 10:06) 

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