29845 DSG 555 WR4üe / Ep.III [Maerklin-Reisezugwagen]
▲ WC側
▲ 非WC側
プレミアムスタートセット(29845)最後の客車はDSG食堂車です。この珍しい食堂車は、種車が近郊形座席車であるため、このセットが話題になったこともあって、この食堂車の実車が存在するかどうかということもファンの間で話題の一つになりました。
車端部の側面です。種車が近郊形ということで片側4枚扉です。これはもちろん多くの乗客の出入りをスムースにするための機能です。しかし、食堂車にはそのような出入扉は不要なはず。そのことからも本当に実車が存在したのかという疑問が出てきても不思議ではありません。
台車は、Görlitz II leichtと思われます。
表記部分を少し拡大した画像です。Ep.IIIのRubinrotは鮮やかで、この客車にも似合っています。表記は黄色で形式の「WR4üe」と記されています。そして形式などの表記真下にはDSGの車体番号である「555」と記されています。DSG食堂車では、通常CIWL同様4桁数字の通し番号で整理されていますが、この食堂車は3桁なのも一般的ではありません。(DSG寝台車は5桁数字です)
この「DSG 555」を調べてみると興味深いことがわかってきました。実は、この食堂車は1950年代西ドイツに英国軍(RTC)が駐留していました。彼らを移送するための車両もあり、このDSG食堂車もRTC専用車両として在籍していたようです。以前この実車の画像をどこかで見た時、RTCのマークも車体に貼られていたのを覚えていますが、メルクリンモデルは、そのような用途としていない想定で敢えて端折ったのか、または、RTC所属から解除された直後の仕様なのかも知れませんが、詳細な資料がないのでわかりません。何れにしても、ここにあるような設定(Hannover - Köln)でDSG 555が運用されていたという文献は見つけていません。
車体中央のDSGロゴとその両隣にはマークが記されているのも、他のDSG食堂車と同様です。
さらに、中央ロゴとは別に両端には「SPEISEWAGEN」の文字も印刷されています。
サボには、他のモデル同様「Hannover - Köln」が印刷されています。
RICラスターは6カ国入線許可が表記されています。
REV表記は、1953年4月12日が直近の検査日のようです。
妻部正面と斜めから見た画像です。このモデルは何れにしても室内装備が種車である開放室のままであり、厨房やテーブルがありません。...かと言ってこのモデルだけのために新しく金型を作るのも経済的はないのでしょうが、食堂車なだけにこれは残念な部分です。
もっとも、このプレミアムスタートセットは、初めて単品購入すると決して安くはない6021コントローラをセットにした、またメルクリンデジタルのポテンシャルをすぐに発揮できる2台のファンクション付き機関車が同梱されていて、すぐにその楽しさを堪能でき、かつ比較的安価に購入できる大型セットでした。クリスマス前にはテレビスポットを流すほどの力の入れようで、メルクリン社には当時の鉄道模型のデジタル普及に並々ならない意欲を感じたものです。
今や、メルクリンH0の機関車は、すべてデジタルデコーダーが標準装備されています。この29845セットの成功がきっかけで、その後、次々とリリースされたスタートセットからメルクリンデジタルを始めたファンも多く、エポックメイキングなスタートセットではないかと感じています。
参考サイト:
WR4ye-36/49 DSG 555 Märklin
http://modellbahn.berghoffs.de/index.php/startseite/modellberichte/wagenmodelle/dsg-schlaf-u-speisewagen/132-wr4ye-36-49-dsg-555-maerklin
DSG-Halbspeisewagen der Behelfsbauarten 1951
http://www.railforum.de/speisewagen/mwrt.htm
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