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Deutsche Bahn plant Rückkehr zu Abteilen [欧州鉄道]

ドイツのDER SPIEGEL誌のWeb版にこのようなタイトルの記事が出ていました。以下にそのリンクを記します。

Deutsche Bahn plant Rückkehr zu Abteilen / DER SPIEGEL

この記事によれば、DBのICEを始めとした長距離列車の多くの利用者から、そのほとんどを占める開放室ではなく、区分室を求めているとのことです。
それに呼応する形で、DBでは再び区分室車両の開発を始めるとのことです。

考えてみれば、ICE3(403/406)やICE-T(D)(415/417/605)には登場当初区分室車両がありましたが、インテリアのリニューアルを機に区分室車両はファミリー個室を残すだけで、一般座席車両の区分室は無くなってしまいました。これはICE3の座席数を増やすことが背景にあったように感じます。
現在ICEでは、ICE1のみ区分室があるだけで、現在増備もしているICE4にも区分室はありません。

さて、DBでは現在長距離列車の標準となっている開放室ですが、ルーツはTEE時代の62系列客車Apmh 121に辿りつきます。当時は1等も2等客車も区分室が主流で、1962年に登場したF-Zug向けの1等車で初めて登場した開放室客車は編成に1両ある程度でした。しかし、徐々に区分室より開放室がもてはやされるようになり、隣国のスイスの昼行列車用車両は、ほぼ開放室になりつつあったこともあるのか、2等車についても1979年のIC/ECに開放室客車Bpmz 291が登場。陳腐化が見えていたBm235より最初から最高制限速度200Km/hを前提に設計された開放室客車の快適性が優位になり、開放室客車の割合は増えて来たように思います。

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▲ Aim 260

一方で区分室客車の要望も一定数あり、それまでの閉じられた6人用区分室ではなく、1988年から登場したInterRegio客車では左右デッキ付近の5人用区分室と中央部分の10人用と15人用半区分室を組み合わせた車両が登場したり、同年IC向けに左右デッキ付近の区分室と中央部分の4人用区分室+向かい合わせ席を組み合わせたBvmz 185の登場など、新しい区分室のあり方を模索した試みがありました。
その後登場したICE1では、1両に区分室と開放室を組み合わせた室内レイアウトで登場しています

おそらく1990年代までは、開放室が主流になりつつも新しい区分室のあり方を考えていたのでしょう。
それより前の1983年にはNemeister Designが、スタディで長距離列車用の新しい区分室を提案していますが、それは5人用区分室で、仕切りはICE3同様パーテーションで仕切られた区分室でした。側廊下にも、単に移動するだけではない機能を加えた斬新な提案でした。

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▲ Bvmz 185

そのような中でもICE2は全て開放室となり、それを知った時は落胆したものです。しかし、その後登場したICE3では再び区分室が登場し、それは1983年に提案した区分室同様パーテーションでしたが、その後のリニューアルで、これら区分室は撤去されファミリー個室以外は全て開放室になりました。そしてICE3(407)やICE4に当初から開放室で現在に至ります。一昨年発表されたTalgo ECxについても開放室のみの提案でした。

そしてここに来てICEに再び区分室が検討されているというこのニュースは、ちょっとした驚きでもあり嬉しくもなりました。
ただ、今回の利用者の要望というのは、様々な背景も考えられます。従来からの区分室希望もあるとは思いますが、コロナ禍ということ。更には、この記事にもあるように利用者の増加が見込まれていてそれにも対処しなければならないことです。コロナ禍はいずれ終息するので現在のような利用者減も同時に終息に向かい、環境問題から航空機からの乗客の利用シフトが予想される中で、長い目で見ると利用者の増大と列車増は織り込まなければなりません。

そのような状況下での新しい区分室車両のあり方はどのような形になるのか、今までのような単純な5人用区分室ではなく、新しいそして感染症にも対応できるインテリアが求められます。期待を持ってその登場を待ちたいと思います。
タグ:DB AG ICE Ep.VI
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