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30 Jahre InterCityExpress [欧州鉄道]

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▲ ICE1が手元にないため、代役でICE-Vに登場してもらいました。

30年前の今日、6月2日にドイツの新幹線InterCityExpress(ICE)が営業運転を開始しました。
営業区間はHamburg=Altona - Frankfurt/M Hbf - Stuttgart Hbf - München Hbfの南北ドイツを結ぶ1路線のみ。このために準備された最高制限速度を出せる高速新線は、Hannover - WürzburgとMannheim - Stuttgartの2区間路線です。

DBより一足早く営業を開始したフランスのTGVが高い評価を受け、ドイツもそれに続いて開業を果たしました。日本が1964年に営業を開始した新幹線が高度経済成長に欠かせない重要な役割を果たした実績もあり、欧州での鉄道復権の切り札にもなる大きなプロジェクトでした。

営業開始の2日前、Hannover - Würzburgの高速新線上に新しく完成したKassel=Wilhelmshöhe駅でドイツのワイゼッカー大統領を始め、コール首相など政府要人も招待された式典で開業を祝いました。ちょうどその時、私自身はミュンヘンのDB DesignCenterでインターンシップをしていて、ハンブルクのS-Bahnや、121形機関車のデザインをしていた頃です。この式典にはデザインセンターからICE担当で長距離列車部門のボスであったP氏が呼ばれて出張していたことを記憶しています。

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▲ ICE開業にあたっての一般向けのパンフレット表紙。文字だけというのはDBの自信の表れ?

この時営業運転を開始したのがICE1と呼ばれる初代の量産型ICE車両で、ハード面では高速新線で最高速度280Km/hの許可がなされた機関車と客車の意欲的なインテリアデザインが特徴でした。(ダイヤは余裕を持って組まれていたので最高制限速度になることはほとんどなく、250Km/h程度と後にキャブライドで話した運転士から聞きました。)
当時、開放室と区分室の利用が拮抗していた時代もあって、客車は1等、2等共に1両の半分が開放室、半分が区分室というちょっと変わったレイアウトでした。また天井の高い食堂車の隣にはサービスカーとも呼べる車両があり、そこには電話やファックスなども備わった会議室も設けられていました。色調は彩度の抑えられたブルーや赤系の組み合わせで落ち着いた雰囲気を持たせていた一方で、このために設計したシートが重量感のあるマッシヴな形状で重々しい印象もありました。また、WCが各車両男女別に2つ並んでレイアウトされていて、男女専用のWCでは片方が待ち時間が多くなるなど問題もあり、現在は男女別ではないはずです。その他、InterRegioで好評だったデッキ部分のデポジット式ロッカーや開放室中央にレイアウトされたワードローブ、一部車両のシート後ろに航空機同様のオンボードビデオモニターなど、新しいアイデアや試みが数多く設えられた車両でした。

ICE1のインテリアデザインはStuttgartのBPR Designが担い、エクステリアデザインと全体のコーディネーションはDB Design Centerが行なっています。

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上画像の雑誌「Die Neue Bahn」(新しい鉄道)は、当時のDBがキャッチフレーズとしてDBロゴの横に記していたサブタイトルと同じ文言です。この雑誌はICE開業に合わせて別冊として発刊されたもので、ICEを様々な角度から取材し記事化したものです。ICE車両デザインについても記しています。

今やこのICE1も、13両編成のICE4 XXLの登場で、リニューアルはされたものの、そろそろ引退時期が近づいていると考えられますが、ドイツの初めての営業用新幹線車両として、登場当時は高揚感を感じたものでした。
今日1日は、30年前に思いを馳せて過ごしたいと思います。

参考文献:Die Neue Bahn / BAHN-SPECIAL 1/91 | GeraNova Zeitschriftenverlag GmbH München
タグ:ICE ICE1 ICE-V DB Ep.IV
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