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NightJet新型車両のお披露目 [欧州鉄道]

2月23日にSIEMENS Mobility工場で現在鋭意製造中のNightJet新世代客車第1号のエクステリア(車体のみ)が完成したのを記念してお披露目(記者発表)が行われ、制御客車のCG画像など、新世代NJの概要が発表されました。

このような車体の外側だけの完成でお披露目が行われるということも、今まであったかどうか私自身は初めて聞いたので、NightJet(NJ)の期待が如何に大きいかを物語るものでしょう。コロナ禍でロックダウンが続く欧州で、こうした移動のビジョンを示すことが暗い世相を吹き飛ばす効果もあるのかも知れません。

昨日この様子が一斉に報道され、様々なメディアで配信されましたが、いくつか観た中で一番全体像を掴める報道に見えたのがリンクした以下の記事です。

NIGHTJET Mit diesen neuen Nachtzügen kannst du bald quer durch Europa reisen

今回の新造車両の背景には、NightJetのネットワークの拡大が背景にあるわけですが、特にスイスのSBBがZürich HBを起点としたNightJetのネットワークを新たに作ることで大幅なNightJet夜行列車路線が増加します。これまでのオーストリアのWienが起点であったNightJetネットワークは、これにより2つの起点で、遠くはスペインのバルセロナまでの路線も含まれる大きな夜行列車ネットワークとなるでしょう。別の報道では、SNCFも夜行列車復活を構想しているので、ドイツを中心に構想しているTEENも合わせれば、CNL時代より巨大な欧州夜行列車ネットワークが遠くない将来に出来上がるのではないかと思われます。

SBBもÖBBのNightJetを導入することになったのは、様々な背景が考えられますが、DACH HOTELZUG時代の初期CNLを最初に脱退したÖBBはCNLの商業的失敗を糧にして出来上がった夜行列車であることが挙げられるでしょう。現在使われているNJ車両はSleepalette以外のCNL時代に使われていた寝台車や座席車両です。それでもNJの業績が悪くならなかったのは、設備ではなく、路線、ダイヤ、車内サービスなどソフトの部分の改善が大きいと思われます。

今回は、NJのための新製車両ですからハードの部分に大きな改善がなされるでしょう。CG画像で明らかになったNJ初となるプッシュプル化で、RailJetの制御客車と異なるVectron顔になったのが目新しく、塗装色も塗り分けがよりRailJetに近い印象を受けました。

リンク先の画像に今回はお披露目できなかったインテリアのCG画像がありますが、寝台車にはDELUXなるカテゴリがあるようです。画像を見る限り機能的で温かみのある魅力的な空間が見て取れます。一方簡易寝台車らしき日本のカプセルホテルを参考にしたと言われている各ベッドごとに区分されているCG画像(ミニスイート)あり、これは興味深い試みです。簡易寝台車の4人用区分室もCG画像にあるので、簡易寝台車も2つのカテゴリに分かれるのかも知れません。

座席車両も、1段せり上がった対面式座席の画像があるので、スーツケースなどの荷物置き場対策もあって興味深いです。(実はCNLの座席車両の提案には、同じようなコンセプトのインテリアを提出しましたが、他事務所のSleepaletteになった経緯があります)

さて、今回のSIEMENS Mobilityで製造しているNJ車両は、同社のViaggioシリーズで、RailJetなどで実績のある車両がベースです。

昨日は、パリのシャルル・ド・ゴール空港の大規模新ターミナル拡張工事が中止に追い込まれた報道もあり、これはコロナ禍による利用者減少が理由ではなく、仏政府の脱炭素社会実現への意欲の表れと国民の「飛び恥」意識の高まりなどが背景のようです。

「フランス政府は国内の航空路線について、2時間半以内で到着できる鉄道路線が存在する場合は運航を認めないことを盛り込んだ法案を閣議決定するなど、航空機による温室効果ガスの排出削減に力を入れています。」

という報道にも、ドイツの鉄道運賃に掛かる付加価値税を7%に引き下げられたことも含めてEUを中心とした欧州諸国は、航空機から鉄道へのシフトが今後も続くでしょう。

[EDIT] 2021-02-28
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Neue Nachtzug Verbindungen von NightJet [欧州鉄道]

昨日に引き続き欧州夜行列車の話題です。以下、記事のリンクです。

DB, ÖBB, SBB und SNCF starten ab 2021 gemeinsam neue Nachtzugverbindungen / Bahn Blog Stelle

一昨日配信されたニュースで、来年2021年の12月からÖBBが始めたRailJetに新しい国際路線が加わることになります。今までは、基本的に旧CNLで運行されていた路線を踏襲した形で運営がÖBBでしたが、それにスイスのSBBが加わることになることは以前から聞いていました。今回の発表では、それに加えてドイツのDBとフランスのSNCFが加わり、RailJetの共通ブランド名で4カ国4事業者による運営となるそうです。

興味深いのは、CityNightLineが当初SBB、DB、ÖBBの3カ国の鉄道事業者で作ったDACH HOTELZUG AGというコンソーシアムで車両調達から統一ブランドで3カ国を結ぶ夜行列車を運行させましたが、程なくÖBBがコンソーシアムから脱退、そして徐々に路線拡大と衰退を繰り返し、最後はCNLブランドはそのままでDB Autozug運営に変わり、収益の改善が見込まれなかったことから惜しまれつつCNLの終焉に至った経緯があるからです。

最初にCNLから脱退したÖBBが始めたNightJetに、失敗したCNLの残りの事業者であるDBとSBBが加わったことは、何やら背景に事情があるように思えました。通常なら、復活させるにしてもプライド高いDBやSBBは、独自にRailJetとは違うブランドを立ち上げたことでしょう。そこに今回のニュースでTEENに参加した4つの国の事業者がRailJetの新しい運営者として発表されるのですから、TEENとRailJetは集約されるのではと想像したくなります。もしかしたらTEENは新しい別ブランドを掲げて登場するのかも知れません。

DBが夜行列車から撤退した後、暫くCNL路線不在の状態(と言っても他国の夜行列車はありました)CNL以外の運営が続きましたが、ÖBBの新たな夜行列車ブランドRailJetの登場と一部CNL路線継承により、DBAG運営不在ながら夜行列車の運行は復活。逆にRailJetは利用者に都合の良いダイヤや新たな供食システムなどのサービスが功を奏して、収益が伸びSBBもRailJetブランドで運営に参加表明するなど夜行列車の復活を印象付けたところに今回のニュースが出てきました。

今回の2021年12月からの新規路線は以下の通り。

ab Dezember 2021
・Zürich – Amsterdam
・Wien – Paris

ab Dezember 2022
・Zürich – Rom

ab Dezember 2023
・Berlin – Paris
・Berlin – Brüssel

ab Dezember 2024
・Zürich – Barcelona

これら夜行列車は、昨日記したTEEN(種別はEN)とは違い少し運行距離が短く、今までの夜行列車とほぼ変わりません。例えば、Wien - Parisは、昼行列車のEC "Mozart"と同じ運行ルートです。暫く前に終焉した夜行の"Orient Express"より短い運行距離なので、この名前はTEENで計画されている同じルートを走る夜行の方がOrient-Expressの名前を復活させるならEN 31/32 Paris – Stuttgart – München – Wien – Budapest/Zagrebを運行する予定のTEENの方が良いでしょう。
また、EN 25/26 Amsterdam – Köln – Basel – Venedig/Genuaは、かつてのRiviera-Expressのルートと重なります。高速化されて再び以前の列車ルートが復活するのはワクワクします。

また、現在SIEMENSでNightJet向けの新しい簡易寝台車(クシェット)が製造中です。今回の発表で創設される新しい運行区間の運用でお披露目になるのかも知れませんね。新しい寝台車両の登場も期待できます。
欧州の鉄道は、このコロナ禍にあって次々と新しい計画が発表されて元気が出てきます。
タグ:teen RailJet SBB OBB DBAG
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TEE 2.0 + TEEN (2) [欧州鉄道]

交通の世界は、現在自動車業界が大きな変革期にあり、化石燃料から電気エネルギーへのシフト、また個人の所有という概念からシェアリングへと自動車と社会の意識が欧州から変わってきています。それは、公共交通も同様で、MaaSの名の下アプリでの決済サービスを始めとして、その重要性が高まっています。

欧州の場合、その背景に環境意識の高まりが挙げられます。飛行機の欧州内移動を「跳び恥」と位置づけ、丁度欧州西側の高速新線の整備も整いつつあることから、今までより長距離の国際優等列車の運行を始めるとの決定がドイツ連邦政府主導で行われているようです。
このプロジェクトを実施するのは、ドイツ、オーストリア、スイス、フランスの各鉄道事業者とされていますが、各国鉄道事業者からの具体的なアナウンスなどは聞いていません。

これについては以前も当ブログでお伝えしましまたが、ドイツ連邦政府が作成したTEE 2.0と夜行版のTEENの詳細なPDF資料を見つけましたので以下リンクします。(ファイル容量4.8MB、重いので注意)

TEE 2.0 - Grenzüberschreitender Hochgeschwindigkeits- und Nachtverkehr auf der Schiene für den Klimaschutz

これを見ると各TEE/EN列車別の詳細が記されています。今後の計画としてドイツ-デンマークのフェーマン海峡トンネル、Stuttgart 21計画、Stuttgart - Ulm高速新線、オーストリア-イタリアを結ぶBrennerベーストンネルなどの完成を視野に入れた時間短縮効果を狙っているようです。
また、各TEE列車の調達のベース車両となるTGVやVeraloなども記されています。夜行版ENについては、ÖBBのNightJetがベースとなっているようで、電車タイプではなく機関車牽引であると考えられます。

現在、コロナ禍の影響は世界で社会のあり方を変えるほどの事態になっていますが、これまでの社会や時代の変わり目というのは、案外こうしたキッカケがトリガーとなるのかも知れません。(たまたまかも知れませんが..)
タグ:TEE 2.0 teen
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Orient Express - Ein Zug schreibt Geschichte / TERRA X ZDF [欧州鉄道]

昨晩24:00からNHK-BSの世界のドキュメンタリーという番組枠で「オリエント急行 ー夢の豪華寝台列車を走らせた男ー」という番組があることを知り、録画予約して今日観ることができました。

この番組は、ドイツZDFが制作放映した歴史ドキュメンタリー番組で、CIWL社の創業者Nagelmackers(ナジェルマッケールス)のヨーロッパ大陸を豪華列車で結ぶという困難かつ壮大な夢を実現させた不屈な営みを、1883年に招待客を乗せて初めて走った最新車両の様子を軸に、彼の半生とCIWL社について歴史的切り口で綴ったものです。

NHK-BSでの番組は、残念ながら既に放映されてしまったため、日本語によって分かりやすく解説した番組は再放送がない限り観れませんが、オリジナルのドイツ語版番組は以下ZDF Mediathekサイトで観ることができます。

Orient Express - Ein Zug schreibt Geschichte

この番組の冒頭では、パリ・ストラスブール駅(現パリ東駅)を出発する直前のオリエント急行傍で招待客を待つ創業者のシーンから始まります。そこにテロップが出ているのですが、1883年10月4日と記されています。
以前、当ブログでも、オリエント急行運行開始日が2つあることに着目した記事(オリエント急行運行開始日?)を記しているのですが、この番組でこの史実を再確認できたばかりでなく、より深く知ることが可能になりました。

ナジェルマッケールスは、米国旅行中に利用したプルマン式寝台の問題に疑問を持ち続け、まだドイツがドイツとして国が定まらない王国がひしめき合う時代の欧州大陸で、国際間で直通する列車の構想(夢)を持ち実現させる人物です。苦労の末にいくつかの国の鉄道事業者と契約を結び、当初はオリジナルの3軸客車(寝台車+食堂車+荷物車)を使って運行開始。その後紆余曲折はあるものの、パリとコンスタンチノープルを結ぶ列車(オリエント急行)を3軸客車で運行を果たします。その4ヶ月後(おそらく、当初の計画では6月の運用開始に全長17,5m、ボギー台車の新型車両での運行を間に合わせたかったのでしょうが、間に合わなかったため)の10月4日に改めてパリ東駅でセレモニーを行い、招待客を乗せてCIWL新型車両のお披露目とトルコへの鉄道旅行が行なわれたのだと考えられます。

番組では、彼の描いた壮大な夢を実現させるため、類いまれな行動力や信念が描かれています。CIWLの給仕や調理人は1流の人材を選び、車内の調度品も上流階級の眼鏡にかなうレベルにし、それまでの苦痛でしかない鉄道旅を、利用したくなる鉄道移動に変えたことがこの番組から理解できます。

番組ではいくつかのエピソードが散りばめられていますが、例えば提供される料理が美味しすぎて、ここで出される料理目当てに利用する乗客がいたとか、トイレが快適すぎて中々出てこないのでトイレの前に列が出来たなど、その設備とサービスは他の移動手段とは一線を画していたようです。そしてそれらサービスは全てマニュアル化されルールとして組み上がっていたので、CIWLでのサービスは常に上質で乗客からの信頼を得ていたということになります。(英国の作家アガサクリスティもこよなく愛したというCIWLのサービスは理解ができるというものです)

この話は1800年代の史実ではありますが、理念としては現在にも通じ、日本の鉄道はまだまだ学ぶべき点が多々あるのではないか..と思えるところです。

もしNHKでこの番組の再放送があるとすれば、CIWLファンの方はもとより、鉄道を愛好する方にも是非観ていただきたいと感じた番組です。

[追記]
NHKでの再放送。

・BS-1 放映日時:2020年10月23日 午後5:00 ~ 午後5:43 (43分)
・Eテレ 放映日時:2020年10月30日 午後10:00 ~ 午後10:45 (45分)


[EDIT] 2020-10-31
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TEE2.0とTEEN [欧州鉄道]

Logo_TEE2.0_ol.jpg
▲ TEE2.0/TEENロゴは、過去のTEE/TENロゴをリスペクトして想像で作ってみました。


一昨日あたりから、ドイツのニュースに「TEE復活」のニュースが出てきて、このTEEという名前に釣られて心ときめいている私も含めた鉄道ファンの間でも話題になっています。
そのニュースをより詳細に記した記事がRailway Gazette Internationalから配信(英語)されましたので以下にリンクを貼ります。

Trans-Europ-Express renaissance proposed / Railway Gazette International

今回のTEE復活というのは、単なる以前の華やかりし頃のノスタルジックなTEEではなく、北欧から欧州に広がっている「飛び恥」に代表される環境意識の変化(強い危機感)からくる移動の変革という位置付けのようです。

現在、新型コロナ禍の影響で喘ぐ航空業界には泣きっ面にハチのような状況にも見えますが、欧州域内を運行する航空路線は逆風状態から逃れられない状況になり、アメリカ大陸やアフリカ、アジアなど鉄道移動は不可能か、時間が掛かりすぎて難しい地域への強化が生き残りのカギになるような印象を上の記事から感じます。

さて、上の記事では具体的なTEE復活をTEE2.0と位置付け、1957年にスタートして西側欧州を結んだ国際急行列車網とは全く違う次元のアプローチであることがわかります。TEEという呼称はあくまで印象付けであると感じます。
それはTEE2.0という名称からも理解できることで、私たちファンからすれば、1等車のみで組成され、食堂車の他にバーや、荷物室、列車秘書、場合によってはドームカーなどの豪華な設備を伴う選ばれた乗客のための国際急行列車...というイメージが付きまといますが、TEE2.0は必ずしもそうではなく、3カ国を結ぶ高速列車(230Km/h〜250Km/h)で以下の路線が想定されているようです。


Proposed TEE2.0 services

TEE1/2: Paris – Brussels – Köln – Berlin –Warszawa
TEE3/4: Amsterdam – Köln – Basel – Milano – Roma
TEE5/6: Berlin – Frankfurt – Lyon – Montpellier – Barcelona
TEE7/8: Amsterdam – Brussels – Paris – Lyon – Barcelona
TEE9/10: Berlin – München – Innsbruck – Bologna – Roma
TEE11/12: Paris – Strasbourg – Stuttgart – München – Wien – Budapest
TEE13/14: Paris – Brussels – Hamburg – København – Stockholm
TEE15/16: Stockholm – København – Berlin – München


既に列車番号まで設定されているので、かなり具体的な議論に入っているような印象まで受けます。
こうした新しい国際高速列車の運行を発表する背景には、環境意識の変革もありますが、鉄道技術の進展も影響していると思います。

現在ドイツだけではなく欧州全体の高速鉄道網整備が順調に推移していて、高速新線の他にゴッタルドベーストンネルを始めとして山岳地帯の高速化やフェーマン海峡トンネルの整備、Stuttgart 21に代表される頭端駅の解消など、欧州鉄道網全体の高規格化が進んでいて、益々到達時間が改善されています。

それに伴って各国の鉄道事業者は、高速列車の国際運用化が進んだ現在、例えばパリとドイツ各都市を結ぶ列車種別をICEやTGVとしているなど、それぞれ独自種別で高速列車を設定して運用していますが、そうした独自のものから各国が手を取り合って大きな1つの欧州鉄道としての列車システムを再構築したいという、かつてのHollander博士のTEEを創設した理念の復活を意味するものとしてのTEE2.0なのではないか。というのが私の印象です。

更に、このTEE2.0は夜行列車についても同様のTEENという新たな呼称を付け昼行列車のTEE2.0と夜行列車のTEENを2本立てで整備することも記されています。これについては、DBがCNLを終焉させ夜行列車の否定に繋げた経緯がありますが、ここでは新たに具体的な運用路線をTEE2.0に合わせて以下提案されています。


Proposed TEEN overnight services

EN21/22: Paris – Brussels – Köln – Berlin
EN23/24: Brussels – Köln – Berlin –Praha/Warszawa
EN25/26: Amsterdam – Köln – Basel – Milano – Venezia/Genova
EN27/28: Frankfurt – Strasbourg/Zürich – Mulhouse – Lyon – Montpellier – Barcelona
EN29/30: Berlin – München – Innsbruck –Bologna – Roma/Nice
EN31/32: Paris – Strasbourg – Stuttgart – München – Wien – Budapest/Zagreb
EN33/34: Paris – Brussels/Amsterdam – Hamburg – København – Stockholm
EN35/36: Stockholm – København – Berlin – Praha – Wien/Budapest


列車種別はENのままですが、上記のような列車が想定されていて、列車名が付けば「EN31/32 Orient Express」や「EN33/34 Nord Express」など、往年の名列車をトレースしたルートが設定されています。

今回のTEE2.0/TEENは、2025年から運用予定とされていますが、現在の車両調達状態を考えれば、Berlin - Amsterdamを結ぶ予定のECxがTEE2.0で想定されたルートに近いように思います。

今回の報道は、実現されれば交通関係事業者にとっても、ファンとしても大きな変革の1つ(エポックメーキング)になるのではないかと感じています。
タグ:teen DB TEE2.0
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今夏のRhB [欧州鉄道]

RhB_Pontresina_2b.jpg

新型コロナ禍の影響で世界規模で海外旅行が不可能になり、この夏の観光地は例年に比べて人の姿が少ない状況だと思います。そんな中、友人のカメラマンS氏から3枚のRhB画像と共に夏の挨拶がメールで届きました。

RhB_Pontresina_1b.jpg

この画像は、7月にRhBへと取材で出かけた時のものだそうです。RhBはご承知の通り箱根登山電車と姉妹提携が結ばれていて、箱根登山電車には氷河急行塗装の車両があり、またRhBには箱根登山電車と車体に大きく描かれた機関車が走っています。この塗装は現地では漢字表記ということもあって目立つ存在なのだと思います。

RhB_Pontresina_3b.jpg

最後の画像は、動態保存されている車両群でベルニナ路線の黄色い車両やミニクロコなどRhBの充実した車両保存の光景がこの画像から見えてきます。日本でももちろんですが、観光立国のスイス、しかもバカンスシーズンのRhBは、今回の感染症の流行で大変な状況になっているように思いますが、食堂車などもフェイスシールドを付けたホール係が料理のサーブをするなど、制限は極力無くして営業しているようです。

早く新型コロナ禍の状況が収束を迎え、私たちも自由に海外旅行が出来るようになってほしいと願わずにはいられません。

Special Thanks: Sさん
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FLIXTRAINの新型車両 [欧州鉄道]

民間バス事業会社FLIXBUSによって運行が始まったFLIXTRAINですが、その安価な価格設定が功を奏してか路線の拡大が進んでいるようで、現在はBerlin-Aachen、Berlin-Stuttgart、Hamburg-Kölnなどで運行されているようですが、路線拡大に伴い新しく車両調達も行われたようです。
今までの車両は、Locomoreで使われていた区分室客車を活用し、外観塗装色をFLIXBUSと同じ派手な黄緑色とオレンジ色を組み合わせた塗装でしたが、新しく調達した車両は同じ黄緑色をベースにした車体色ながら、オレンジ色をなくし、窓部分をブラックアウトした帯状にして、今までにないインパクトのある塗装色となりました。以下にこの新しい車両について記した記事のリンクを貼ります。

Nächster Halt: Osnabrück – FlixTrain nimmt Betrieb zwischen Hamburg und Köln wieder auf / HASE POST

この記事の画像を見ると、どうやら種車は元InterRegioのBimのようで、座席とレイアウトを一新し、特に車内はIR/IC時代とは異なる印象に変わっています。ただ、改造費用を極力抑えたいという意識はあるようで、IR客車で特徴的な波形天井はそのまま残されています。ただ、それまでの半区分室車から完全に2+2の開放室車両となったことから、大幅な座席定員の増加になっています。価格設定を考えればこの定員もやむなしではあるでしょうが、現在の新型コロナ禍の中で、この定員でソーシャルディスタンスが保てるかどうかはわかりません。

現在のトレンドとなっているACコンセントや車内Wi-Fiは設備されているので、それなりのサービスは確保されているように思いますが、座席定員がIR時代に比較して大幅な増加になったことから、批判的な意見もネット上で見られます。
外観や内装の印象は悪くないですし、逆に天井の造形が車内の雰囲気を引き立てているようにすら見えます。この車両の改造を受注したのがAachenにあるTalbot社ですが、実はInterRegioの初期車両は、当時PFAの工場がまだ完成していなかったこともあって、一部Talbot社で改造を受けています。そういう意味でも何か縁のある元Bim車両です。

この車両自体は、1970年代に製造された車両ですので結構な厚化粧になっているはず。運用後の評判を聞いてみたい列車です。
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1000 Kilometer bis zum Meer | Der Alpen-Sylt Nachtexpress im Detail [欧州鉄道]

以前、ここでもお知らせしたオーストリアのザルツブルクから北ドイツのSyltまでを結ぶ新しい夜行列車、Alpen-Sylt Nachtexpress(以下ASN)は、無事に運行を始めたようです。

早速、この新しい列車の乗車インプレッションを以下YouTubeサイトで配信・公開されています。

1000 Kilometer bis zum Meer | Der Alpen-Sylt Nachtexpress im Detail

さて、このASNですが、1970年代に製造された簡易寝台車Bcm 243が種車です。その後Bvcmz 248となり、DB AutozugやCNLでも使われていました。民間事業者では、BTE(Bahn Touristik Express)として運用されていて、車体や台車・台枠は50年選手になる古参車両です。このASNの車両は、BTEで使われた車両からのリニューアルと聞いています。塗装色や車内は今回リニューアルを受けていますが、基本的には同じ構成で6人用のベッドを持つ個室と洗面所、WCで構成されています。
また、個室内には、コンセントとWi-Fiが使えるのでトレンドに対応しています。

この夜行列車は2つの販売パターンがあるようで、1人分単位のチケットか、個室単位で販売されるようです。個室単位では感染症対策となりますし、家族旅行では人数次第ですが、格安旅行が可能となります。
飛び恥がトレンドになる最中に起こった新型コロナウィルスによる移動制限と、その後の状況ですが、鉄道旅行での個室概念は夜行列車では歓迎されるでしょうし、今後昼行列車での対応が気になるところです。
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Alpen - Sylt Nachtexpress [欧州鉄道]

昨日、北ドイツの保養地Sylt島とオーストリアアルプスの玄関であるSalzburgを結ぶ民間会社による夜行列車の運行が9月から開始されるニュースに触れました。
これによれば、週に2往復と便数は少ないながら週末運行に限定され、利用者ターゲットはビジネスではなく、バカンス向けであることがわかります。以下にその列車のウエブサイトのリンクを貼ります。

Alpen - Sylt Nachtexpress

リンク先の時刻表によれば、木曜日と土曜日の19:55にSyltを出発、Hamburg Hbfを23:30出発、途中Frankfurt/Main Südを早朝5:20、Nürnberg 8:00、München-Pasingを9:40、終点Salzburgに11:45到着というダイヤです。これを見ると、中々戦略的なダイヤを組んだとも言えるでしょう。と言うのも、ターゲットはバカンス客と前述しましたが、必ずしもそれだけではなく、ハンブルグやフランクフルト、ミュンヘンなど、大都市の到着時刻もしっかり計算に入っているようで、ビジネスにも使えるものです。逆コースは、金曜日と日曜日出発でSalzburgを16:10(17:10)発、途中München-Pasing 17:50(18:50)発、Frankfurt/M Süd 22:30(23:30)発でHamburg Hbf 4:15(7:15)着、Sylt 7:50(12:00)着となっています。
とはいえ、ビジネス中心ならば毎日運行が最低条件でしょうし、このダイヤだと編成は1本と考えられますので、普段使いの夜行列車にはちょっと使いづらいと考えられます。

オープンアクセスで今まで数々の民間事業者による列車が運行されていますが、夜行列車は多くはなく、今回はほぼドイツ国内路線ですが、ドイツの西側主要駅に停車し、最大限の効率の良いルートとダイヤと組んだものと思います。

さて、この「Alpen - Sylt Nachtexpress」の利用ですが、ウエブサイトに記されている文面を読むと、これまでの「ベッド売り」ではなく、部屋売りと言うことがわかってきました。つまり一人の寝台料金という考え方ではなく、6人用個室1室片道EUR 399,-〜とのこと。価格は早期予約の方が割安で、運航日が近づくと変動するようです。興味深いのは、この部屋売り価格は基本的に、予約本人とその家族や友人で合計6名まで同一価格、乗車する人は全て事前登録しなければならないとのこと。SalzburgからSyltまで片道約5万円強になり、一人であれば余りリーズナブルではありませんが、4人なら乗車運賃込みで1,3 万円程度になるとすれば、お得感があります。また、コロナ禍後の簡易寝台車事情を思えば、この部屋売りという方法はトレンドになりそうな気がします。

そして車内の供食ですが、ウエブサイトには...
「ソフトドリンク、アルコール類、スナック、及び朝食は車内で購入できます。」
と記されています。この辺りはNightJetと異なるところです。部屋売り価格を考えれば、このシステムも理解できるところです。
食堂車はどうやらなさそうですが、具体的な内容やサービスは知りたいところです。

車両についてはまだ公表されていませんが、新車導入の計画は聞いていませんし、ウエブサイトを見る限り、簡易寝台車のみのサービスに見えますが、CNLが終焉して以来、ドイツ国内線の夜行列車がないので、きっと少なからずの利用者に歓迎されると思います。NightJetの成功もルートとダイヤ、そして車内サービスに依るところが大きいですから、このAlpen - Sylt Nachtexpressの車内サービス(特に供食)については関心を持って詳細の発表を待ちたいと思います。

[EDIT] 2020-06-16
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Grimseltunnel [欧州鉄道]

DSC01416b.jpg
▲ 記述内容とは無関係ですが、2003年夏にスイスに家族旅行したとき貸別荘で過ごしたMGB沿線の村Sedrunの光景です。

スイスのメーターゲージによる鉄道路線は、大雑把にはスイスアルプスの北側を東西に結ぶルツェルン - インターラーケン - モントルー(ZBとMOB)を基軸とした路線網と南側を東西に結ぶサンモリッツ - ディーゼンティス - ブリーク - ツェルマット(RhBとMGB)を基軸とした2つの路線網がありますが、この2つは繋がっておらず、ネットワークとしての形成は未完成と言えます。

このスイスアルプスによって分断されている2つの基軸路線にはGrimselpassという山岳地帯が横たわっていて、公共交通は現在は道路だけ(おそらくポストバス)による連絡のみなのですが、MGBのOberwaldとZBのMeiringenを結ぶ鉄道トンネル(Grimseltunnel)が現在計画されています。Grimselpassの上にある湖は観光地として夏場は賑わっていますが、同時に水力発電施設としての機能もあり、この鉄道トンネルを活用して高圧電力送電も同時に設備するようです。
昨年までの4年間でのトンネル計画は順調に進み、今年から4年の計画で更に実現への歩みを進めるとのことです。

まだ、鉄道が開通した際の事業者などのアナウンスは聞いていませんが、これが完成するとスイスのメーターゲージのネットワークが1つに繋がるなど数年前に開通したゴッタルドベーストンネルに迫る大きなプロジェクトとも聞いています。

トンネル完成時のメーターゲージネットワーク

個人的には、MGBのOberwaldはDFB(フルカ山岳鉄道)の起点の1つで、DFBへのアクセスしやすくなるのが嬉しいですし、ここからInterlaken方面に路線が繋がると新たな観光や流通ルートができることになり興味深い展開が期待できそうです。

このプロジェクトに触れた時、興味を持ったのは2003年夏にスイスに家族旅行した時、私のわがままでGletschへDFBを観に行き、その足でGrimselpassの頂上の湖へと足を伸ばし、透き通るような青空と絶景の下でお手製のサンドイッチを家族で頬張った思い出があったからです。
ただ、確かに大きな高圧電線マストが立ち並んでいたのも事実で、写真を撮るときに電線やマストがフレームに入らないよう画角を調整した記憶もあります。
Grimselpassへは、Gletschからはポストバスでそこまで行けますが、私たちはレンタカーでしたので時間を選ばすに行けました。将来ここの下をトンネルが南北に貫き、メーターゲージの列車が行き交うことになれば、例えば、ZBのLuzernからZermatt行きやRhBのイタリアTranoからのMOBのモントルー行きなどGrimselトンネル経由での列車の設定が可能になるなど、更に両路線の物流と旅客輸送に大きな役割を果たすことになるでしょう。

参考サイト:GRIMSELTUNNEL
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