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LRTデザインコンテスト2009 審査会 [デザイン]

昨日午後から「LRTデザインコンテスト2009審査会」が行われた。今回のデザインコンテストは基本的に昨年と同じルールを適用しているが、テーマが横浜から東京に移った。それは今年12月に行われる「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会」の会場が東京になるからである。今回のデザインコンテストの展示と表彰式も同日に東京会場で行われる予定である。

さて、今回JIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)が後援ということもあって、私自身も所属する乗り物研究会から現役の鉄道車両デザイナーを審査員に加え、厳正な審査が行われた。
審査では作品の応募者氏名が伏せられているので、例えば知り合いがエントリーしていてもわからないようになっている。(実際には知り合いはいなかったのであるが)

今回応募者数の最も多かったのがLRV車両のデザインである「B」部門で80作品近い出品であり、審査のほとんどの時間も「B」部門に費やされた。一般向けなのでデザインのプロレベルの作品から学生、デザインとは無縁と思われる方々の作品もあったなかで、私たちが重視したのはスタイリングや表現技術の質の高さ以上に、作品の持つコンセプトと新しい発想や考え方が我々審査員に訴求されていることである。

今回のテーマが東京という世界に名だたる都会としての顔の他に、近郊住宅地としての顔、そして奥多摩地区に代表される緑豊かな山々が連なる顔もある非常に広い地域が対象である。そんな中で審査を行いながら「東京」らしさという部分を再発見できたのは私にとって大きな収穫でもあった。
東京=大都会ではあるけれども、本当の「東京らしさ」とは何か別の部分にあることが数々の作品からみえてきたのである。そのきっかけは、少なからぬ作品に多くの外国人が東京に何を求めて訪れるのかということからも理解できるのである。それはモダンな高層ビル群ではなく、昔から自然発生的に出来上がった東京の歴史を感じさせる部分であったりする。

とは言え、決して後ろ向きなデザインを私たちは支持した訳ではないことを断っておく。こんなLRVが東京を走ったら乗ってみたい、外国からもこのLRVに乗るために東京に来てみたい、と思えるような作品が上位に残ったということは申し上げておきたい。
これら作品に御興味のある方は12月5日、東京大学で行われる予定の展示会に是非足を運んでいただければと思う次第である。

なお、デザインコンテストは大会のイベントの一部としての位置づけであり、他の技術的部門なども含めた総合的な研究発表については現在論文募集中なので御興味のある方は以下サイトをご覧いただきたい。

http://www.yasashii-transport.net/
タグ:LRT デザイン
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LRTデザインコンテスト2009 エントリー [デザイン]

左バナーからもリンクされているが、都市交通のデザインコンペ「LRTデザインコンテスト2009」の郵送による応募(必着)が本日締切られる。
昨年から始まったこのコンテストは、まだまだ自らの告知活動に満足している訳ではないのであるが、毎年続けることで少しづつでも浸透してくればと考えている。

今日締め切りになるのは、小学生以下のA部門と一般まで応募出来るB、C部門の郵送分である。B、C部門についてはデータをインターネットで応募可能であるので13日が締切となるので、もし、この記事をお読みの方で締切日について誤解されている方がいらっしゃれば、データ送信応募であれば間に合うので、慌てずに応募して頂きたいと思う。

今後、応募作品が揃った時点で審査を行い各賞の入賞作品が決まる。今年の作品はどのような力作が集まっているのか、私は審査迄知ることもできないが、大いに期待するものである。
12月には、東京大学で表彰式と展示も行う予定になっているので、作品にご興味があれば、その時にご覧頂ける。

今から楽しみである。
タグ:LRT
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LRTデザインコンテスト応援サイト / JIDA 「乗り研」East [デザイン]

先日から公募の始まった「LRTデザインコンテスト2009」であるが、後援のJIDAの部会でもある「乗り研」が当コンテストに全面的に協力してくれている。その乗り研のウエブサイトでは、「LRTデザインコンテスト2009」応援サイトまで公開するまでになっているので紹介したい。

http://www.norikeneast.com/contents/05_LRT2009/LRT2009_top_page.html

このページの左サイドバーに幾つかのコンテンツが用意されており、コンテストとLRTについての情報が手に入るしくみである。まだ、公開間もないので工事中ページも少なくないが、コンテスト期間中に充実されてくるものと期待している。サイドバー最下段の「LRTエッセイ」は第1弾として私自身のドイツでのStrassenbahn(路面電車)との衝撃的な?出会いについて書き下ろした記事になるらしい...。
LRTに興味のある方は是非ご笑覧いただきたい...と思うのである。
タグ:LRT デザイン
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LRTデザインコンテスト2009 [デザイン]

昨年横浜をテーマにした「LRT&BRTデザインコンテスト」が予想以上の好評を得たので、今年の『人と環境にやさしい交通をめざす全国大会』会場である東京をテーマに...

「LRTデザインコンテスト2009」

...を行うことになった。

今回も昨年同様カテゴリを3つに分け、学生はもちろん小学生以下からプロのデザイナーまで応募可能である。また、今年はJIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)の後援を得ており、私もメンバーとなっている「JIDA乗り研」もこのコンテストに多大な協力をしてくださっている。

応募要項など詳細は以下のウエブサイトを参照されたい。

http://www.tamabi.ac.jp/gakusei/staff/kameya/katsuma/designcontest/index.html

なお、発表展示と表彰式は、東京大学本郷キャンパスで『人と環境にやさしい交通をめざす全国大会』に合わせて行われる予定である。

今回のテーマである東京は、世界有数の大都市でもあるが、郊外の住宅地や田畑もまだ残っているところもあり、山間部もある多様で面積の大きな地域である。その東京の都市交通を応募者はどう料理して提案するのか今からとても楽しみである。
タグ:LRT
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Less and More / Dieter Rams 展覧会 [デザイン]

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今銀座のApple Storeにてこのブログを記している。...と言うのも、今日は大学の授業がお休みなので、府中美術館で行われているドイツのデザイナー、Dieter Ramsの展覧会に出掛けたのである。次の約束迄あと小1時間あるので、その時間を銀座で過ごしているという訳である。

そもそもこの展覧会を知ったのは、Lufthansaのメルマガでこの展覧会(純粋なる形象 / ディ—ター・ラムスの時代ー機能主義デザイン再考)の入場券の懸賞に応募したのであるが、人気がなかったのか当選してしまったことから始まる。Dieter Ramsは、工業デザインを知る者にはあまりに有名な元BRAUN社のデザイナーである。彼は現在も健在で、ハンブルグ美術大学の教授である。私自身は、DB デザインセンターで行ったハンブルグ市のS-Bahn車両のデザインコンペ最終審査前に彼が私の作品を評価してくれたことが接点かも知れない。(直接お会いしたことはない)ハンブルグのS-Bahnは結局政治的?判断で、現在のS-Bahn車両はLHB社の社内デザインとなっている。

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美術館は我が家からは少々遠いのだが、折角ゲットしたチケットなので出掛けたのである。京王線府中駅から美術館迄のアクセスが悪いので少々疲れたが、その疲れが飛んでしまう程、展示内容は中身の濃い素晴らしいものであった。それはDieter Rams自身のみの作品展とはならずに、ドイツのデザインの変遷からBRAUN社の社内デザイン室の中での彼の作品や、彼以外の代表的な作品も数多く、実物、そしてモックアップモデルが並べられ、圧倒されたのである。

BRAUN社は、インハウスデザインでも全ての作品にデザイナーの名前が記されている。例えばApple社のiPod Touchも展示されていたが、デザイナーネームはない。しかし、これが普通である。BRAUN社はそこからして違う。彼が手がけた作品は1950年代からあるが、当時のプロダクトのデザイン変革は、非常に大きかったことが展示で理解できる。それはシェーバーのデザインだけに留まらず、BRAUN社が多く手がけて来た家庭用電気製品全てにおいて一貫した哲学が貫かれていることからも理解できる。

私がBRAUNのデザインを評価するのは、デザインを製品の1要素と考えていることである。デザインを意識した製品は今や星の数程あるのだが、その多くはデザインを妙に誇張したり、意味のないスタイリングに終始するなど、デザインを付加価値としてのみ捉えている企業があまりに多いからである。工業製品ゆえ製品価格を安価にすることが求められる中、デザインの主張で高額になったり、変な主張があったりと、デザインの本質を理解していないモノが多すぎるのである。その点、BRAUNの製品はあくまで製品の一部にデザインが存在すると言うささやかな主張である。

しかしながら、この展覧会で最も注目した製品は彼の作品ではなく、Rheinhold Weissというデザイナーの作品である。ポット(HE 1)とオーブントースター(???)、ポップアップ式トースター(HT 2)の3点が展示されていたが、全て60年代初旬の作品である。一般的な当時のBRAUNの作品は樹脂を多用したシンプルで整理された構成でできているのだが、完璧でありながらも少しばかりよそよそしいデザインと感じない訳ではないのであるが、彼のデザインは、光沢の金属と樹脂、ガラスを上手に処理しながらもBRAUNらしさというのも感じられるデザインで、実にエレガント。今発売されても欲しいと思うようなデザインである。モックアップも含めて初めて見たデザインも少なくない中で、彼の3点の作品は私の心を釘付けにした。

Dieter Ramsの展覧会に来て、彼以外のデザインに心を打たれていたのでは申し訳ないが、それはDieter Ramsのデザインがあまりに有名で、既に頭に入っていたからかも知れない。日本では滅多にお目にかかれないBRAUN+a/d/s社のオーディオ/テレビシステムやBRAUNの骨董的価値のある作品群を目の前で見ることが出来ただけでも大きな収穫であった。

BRAUN製品がここまで一堂に会される機会はまずないかも知れない。興味のある方は是非訪れることをおススメするものである。

この展覧会は、7/20迄

[追記]
先程ちょっと面白い記事を見つけた。Apple社のデザインはBRAUN(Dieter Rams)の影響を大きく受けているという考察である。記事とそこにある比較画像を見るとなるほどと思える。考えてみれば展覧会会場のスライドショーによるプレゼンは数台のiMacを使っていたが、見事に会場に溶け込んでいて全く違和感のない存在であった。
ちょっと意地悪な言い方だが、今のBRAUNのシェーバーのデザインを見ていると、Apple社の製品デザインの方が余程BRAUNらしいと思えてくる程である。(iMacのリンゴマークを「BRAUN」ロゴに変えてみたら....)

実は60年代のBraun製品が、Appleの成功のカギを握っていたらしい!? / GIZMODO Japan
http://www.gizmodo.jp/2008/01/60braunapple.html

参考サイト:Dieter Rams展 / 府中美術館
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/Rams/index.html

[EDIT] 2009-06-26 8:39

JIDA 「乗り研」East [デザイン]

先月のこと、私の所属する職能団体であるJIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)の分科会(研究会)である「乗り研」Eastなる会へのお誘いを受け、ちょっと興味もあって参加した。早速上野駅でのラチ内(改札内の意)オフにもご挨拶がてら参加させていただいた。

興味があったのは、私が学生の頃の思い出と関係してくるのである。
デザイナーを志した高校時代の私はかなりディープな撮り鉄であり、鉄研部で模型も楽しむようなことをしていたのだが、念願かなって美術大学へ入学すると、そこは「鉄」とは無縁の世界で鉄な友など皆無であった。(普通の友人はたくさんできたが...)
だんだん大学での課題も忙しくなり、鉄から遠ざかる日々となった...。(模型は高校時代の国産Nの浮気からメルクリンへ戻ったが...)

そのようなことから、デザインと鉄との溝が私自身にはとても大きく深いものであることを大学時代に気がついたのである。(当時の花形はカーデザイン)よって、就職も鉄とは関係のない...しかし、トランスポートの会社のデザイン部署に。私をドイツに駆り立たせたのも、鉄にデザインを上手に利用している現場を見たかったということもその理由の一つである。

私がドイツに滞在している80年代後半から90年代後半に掛けて、日本の鉄も民営化の影響もあってデザインが取り入れられ始めたのはご承知のとおり。(その善し悪しは別として)

帰国後、所属しているJIDAには中々縁がなく、稀に東京でドイツのデザイナーが講演などされるとき訪ねる程度であったが、今回図らずもこのような会にお誘いいただけたので、参加することにしたのである。そしてつい先日であるが以下「乗り研」Eastのウエブサイトも出来たので、このブログでも紹介することにしたのである。

http://www.norikeneast.com

「乗り研」メンバーは基本的にJIDA会員で、各自「鉄」に限らず乗り物に興味を持ち、研究するのである。そして発表の機会があればそれを行うのであるが、私自身はまだその研究テーマを探している段階である。基本的には路面電車とまちづくりが私のライフワークのような感じであるが、現在疑問に感じていることがらも日常の鉄道移動に関して少なくなく、そのあたりのテーマも探ってみたい。

ウエブサイトをご覧になればわかると思うが、私以外の方々は鉄のデザインの世界ではそうそうたる面々である。私もこの「乗り研」で大いに勉強させていただくつもりである。

なお、私メンバーになったことで役職?を頂いた。それは「獨逸鐡道研究所所長」というもの。恐れ多い役職であるが、ドイツ鉄ヲタとしては、ありがたくこの役職を頂戴したのである。
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トースターのデザイン [デザイン]

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今回は、鉄道(模型)とは少々離れた話題にしたい。実は、我が家のトースターはドイツに住んでいる時に購入したもの(画像上)で既に10年以上経っているシロモノである。しかし、このBRAUN社製トースターは、とてもシンプルなフォルムと機能美が気に入って使っていたのだが、とうとう壊れてしまったのである。原因は接触不良のようであったが、特殊なビスを使っていたので開けることが出来なかったのである。そんな訳で暫くは別のオーブントースターを仕方なく使って食パンを焼いていたのである。

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そんな中で今回メッセでドイツに行き、忙しい合間をぬってスーパーで食品を調達したり、デパートで土産物などを物色していたときのことである。昨年同じ売場に来た時は、コーヒーマシン売場はNestleのエスプレッソマシン(Nespresso)が売場一杯に台頭していたが、今年はすっかり影を潜め、更に素晴らしいマシンが...などと感心しながら家庭用品売場をうろついていると、特売のトースターが山積みになっていたのである。しかもBRAUN社製で白と黒のモデルであった。

当然私の頭には古い故障した我が家のトースターが浮かんだが、まさかドイツに旅行してトースターを土産に買ってくるなど考えてもいなかったので躊躇したのである。家族はどうリアクションするかとか、スーツケースに収まらないこのトースターをどう持ち帰るか、などなど私の頭の中を色々な考えが巡っているのである。しかし、持ってみると意外に軽いので、スーツケース以外にもこれくらいなら預けられるだろうと判断し、持ち帰ったのが画像のトースターである。

新しいトースターは、さすが以前のモデルより10年以上経っただけあり進化している。それは基本的な部分は変わることがなく、スイッチ類が充実したことと少々スタイリッシュになったことであろうか。BRAUNと言えば、日本ではシェーバーなどが主流であるが、ドイツでは様々な家電製品のブランドでもある。デザインに興味のある人は素晴らしいデザインのオーディオ製品などを思い浮かべる人もいよう。最近はそのシェーバーも以前のような単純で機能的ないかにもドイツ製の代名詞のようなデザインからは離れつつあり、残念な気持ちが強かったが、この新しいトースターのデザインはどうしてどうして、BRAUNらしさの光るモデルである。どうも日本製のトースターのフォルムと機能に満足していなかった私は、今回の思いもよらない買い物は大正解である。
あと少なくとも10年は、美味しい食パンを焼くために我が家で活躍してもらいたいものである。

参考サイト:MultiToast / Braun AG
http://www.braun.com/de/household/food-preparation/toasters-multitoast/models.html

タグ:BRAUN
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年賀状 2009 [デザイン]

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新年2日目は、例年どおり親戚からのお呼ばれでお昼ご飯をご馳走になる。その後、皆で埼玉県北部の金讃神社/大師に初詣に出掛ける。息子が受験なので最後の神頼み...でもあるか?

さて、年賀状は今年も相変わらずのLRVのスケッチである。毎年授業のテーマに合わせてのデザインであるが、今回は某大学の先生にご協力を頂いてキャパシタを使ったLRTをモデルとした車両である。よって架線やパンタグラフはない。走行エネルギーは電停で短時間の急速充電で賄い、その電停には自然エネルギーによる充電設備を置くという設定である。

夢のようなサスティナブルなアイデアでもあるのだが、問題解決も不可能ではなく、実現出来れば世界で唯一のシステムでもあるこのLRTの車両をデザイン面からアプローチするのが目的でもある。
そんな公共交通のある社会に育って欲しいというのが私の夢でもある。



タグ:LRT
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LRT&BRTデザインコンテスト表彰式と展示会 [デザイン]

左のオレンジ色バナーでも告知をしてきたが、昨日、横浜国大で「第3回 人と環境にやさしい交通をめざす全国大会 in 横浜」が挙行され、その中の一イベントである表題のデザインコンテストの入賞者への表彰式と作品展示が行われた。

私も今回のコンテストの役員の1人として早朝から最後の懇親会迄丸々1日この大会に携わった。思えば、この大会に関わるのに1つのきっかけがあった。それは、昨年の夏のJAMへ出掛けたおり、多摩美の研究室がLRTを展示していることを知って、そこを訪ねたのが始まりであった。その後、LRTデザインの講演に多摩美へ出掛け、そこで出会った今回の大会の責任者の方からデザインコンテスト役員への打診を受け、突然のオファーに安請け合いしてしまったのが運のツキで、それから数度多摩美での打ち合わせや、東京での役員会の出席など、正直なところ交通費全額自分持ちで片道約100Kmの往復をこなさなければならなかったのは、時間的にも財布にもイタかったのは確かだが、だからといってそんな理由でやめる訳にもいかず、ただ、事務局の担当者が同様に献身的に多くの仕事をこなし、他の役員の方々も全てボランティアで生き生きと仕事をされるのを見て、私も逃げ出す訳にはいかないと心に決めたのである。もし、私があの時JAM会場で多摩美のブースへ行かなかったら、その後の展開は全くなく、実に不思議な縁であると考えるのである。
幸い、役員の皆さんが力を合わせて様々な努力で告知活動に力を入れてくれたので、様々な年齢の方々からの応募があり、レベルの高い作品も数多く集まったのである。

11時からの作品展示に向け早朝から準備をして何とか会場は格好がついた。すると昨年卒業制作を担当した卒業生が見に来てくれた。彼は、現在夢であった鉄道デザインをする会社で充実した仕事をしている様子。とても嬉しい。
11時半からは別棟で行われている熊本センターさんの研究発表を拝聴し、展示会場に戻ると大阪から三太さんがみえられ、初めてリアルでお話をさせていただく。そうこうしているうちに、表彰式の行われる13時が近づく。だんだんと受賞者がおみえになり、小学生から大人迄時間には約50席用意した座席が満席に...。

小学生対象のA部門の受賞者は、ご両親や祖父母の方々までご一緒して見に来てくださり、実に和やかな雰囲気で表彰式が始まった。私は、賞状を受け取ることはあっても手渡す立場になったのは初めて。とても緊張する。忘れられなかったのは、A部門グランプリを獲得した小学生に賞状を手渡し、その後副賞のKATO N700系スタートセット(Nゲージ)を手渡したときの彼の嬉しそうな顔である。副賞については、中々決まらなかったため、最後迄公にはしなかったのが幸いしてか彼にとっては実に嬉しい驚きであったに違いない。(快く協賛していただけたKATOやその他企業様には心より御礼申し上げたい)
表彰が終了後、あいさつをすることになっており、その文言を行きの新幹線の中でパソコン片手(両手?)に考えて、壇上ではパソコンを横においてカンペ代わりに使うという離れ業で何とか乗り切った。(ホッ)

とにかく、今回のデザインコンペは大会としても初めてであり、私も他の役員の方々にも初めての経験。全てが初めてだらけの中で行われたので、おそらく時間的に無駄と思われることも少なからずやったと思うが、それは初めての中なのだから、経験すると言う意味では決して無駄な作業ではなかったと思う。初めてついでに言えば、「LRT&BRTデザインコンテスト」というもの自体が我が国では初めてではないだろうか。
そういう意味では、パイオニアであったのだから初めてが当たり前なのかも知れない。それにしても今回受賞者の方々と若干の懇談をした時も、皆現在の公共交通に憂いを感じ、そしてより良くしたいという気持ちにあふれていることが良くわかったのである。是非この気持ちを今回で終わらせず次に繋げたいと思った瞬間でもあったのである。

幸い、他の実行委員の方々からもデザインコンペが成功であったとのねぎらいの言葉をいただき、更には今迄の大会にはなかった雰囲気が今回のデザインコンペによってもたらされたと喜んでいただけたのは、本当に嬉しい言葉であった。(私は過去の大会に参加していないので違いがわからないが、どうやら専門的すぎて学会のような感じであったらしい...)
そのねぎらいの言葉をかけていただいた方は、LRTを語るにはなくてはならない1冊の本を執筆された1人でもある。(下にその本へのリンクを記す)

表彰式の後、楽しみであった市民フォーラムを聞くことができた。ここの講演者は、私がドイツで最初の2ヶ月間同じ語学学校で勉強した先生で、同じ交通分野の大学教授である。一緒に様々な議論(たわいない鉄道談義?)をしたり山登り(ハイキング?)をしたりと楽しい思いでを共有した方である。
フォーラムでの講演自体も期待以上のもので楽しくあり、かつ私が考え疑問に感じていたことに近いことを話して頂けた。それは、何故バスではなく、路面電車が良いのか?という極めてプリミティヴな質問から始まったのである。その場で3名程のLRT推進派の方々に聞くと、最初は表明的な通り一遍の答えしか出て来ない。講演者である先生が「ホントにそう思う?」とツッコミを入れるとようやく本音が出てくる。

実は、自分自身Karlsruheに住んでいる頃、路面電車の電停から中心市街地へ買い物などに出掛けていた(当時はLRTなんて言葉も知らず使い勝手の良い交通機関だと思っていた)のだが、そこからバスも出ているのである。しかし何故かバスより路面電車に乗ってしまう。それは何故かという疑問を抱きながらも答えが出せずにいたのだが、先生はこれの答えを用意してくれたのである。答えは「バスは自由で路面電車は不自由だから」である。つまり自由に動き回れるバスは、いつ路線が変更されたり廃止されたするかわからないし、そんな変更は日常茶飯事であるという。一方路面電車は、不自由である。何故なら線路の上しか走れないからである。つまり線路の存在が安心感に繋がるということ。感情的に人間は路面電車に信頼を抱くという。確かにその通りである。もしかしたら自分は「鉄」故に路面電車が良いという偏った見方をしているのかとも考えなくはなかったが、今回の先生の話で自信を持って「路面電車がバスより魅力的である」ということが言えるようになったのである。

最後は、懇親会では受賞者のお一人、そして熊本センターさんとの3人で鉄道やバスのこゆ〜い話で大いに盛り上がり、楽しい時間を過ごさせていただいた。
今回の大会では確かにボランティアで様々に大変ではあったが、多くの素晴らしい方々に出会え、そして少なからぬ絆ができたことが最も大きな収穫であったと思う。

さて、来年の大会は東京大学で行う予定であるという。デザインコンテストは来年もあるかどうかはわからないが、今回は少なくとも大会の場に一つの新しい風を入れることには成功したように思う。この大会は、何より市民レベルで立ち上がったもの。行政も研究者もNPOも学生も、そして一般の市民も参加してこそ意義のあるものである。何故なら公共交通は皆のものであり、共有の財産でもあるのである。デザインは公共交通に欠かすことの出来ない1つのファクターであり、そこには利用者と運営者の間を取り持つ触媒のようなものであるのだから。



世界のLRT(キャンブックス) (キャンブックス)

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  • 作者: 三浦 幹男
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タグ:LRT
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〜お知らせ〜 LRT&BRTデザインコンテスト発表展示 [デザイン]

横浜国立大学で12月6日(土)に行われる「LRT&BRTデザインコンテスト」の授賞式と作品展示について、先に受賞作品が以下リンク先のウエブサイトで発表されましたので、お知らせいたします。

http://www.tamabi.ac.jp/gakusei/staff/kameya/katsuma/designcontest.html

なお、当ブログのオレンジ色のバナーからのリンク先も上記アドレスに変更いたしました。
タグ:LRT
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