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LRT&BRTデザインコンテスト表彰式と展示会 [デザイン]

左のオレンジ色バナーでも告知をしてきたが、昨日、横浜国大で「第3回 人と環境にやさしい交通をめざす全国大会 in 横浜」が挙行され、その中の一イベントである表題のデザインコンテストの入賞者への表彰式と作品展示が行われた。

私も今回のコンテストの役員の1人として早朝から最後の懇親会迄丸々1日この大会に携わった。思えば、この大会に関わるのに1つのきっかけがあった。それは、昨年の夏のJAMへ出掛けたおり、多摩美の研究室がLRTを展示していることを知って、そこを訪ねたのが始まりであった。その後、LRTデザインの講演に多摩美へ出掛け、そこで出会った今回の大会の責任者の方からデザインコンテスト役員への打診を受け、突然のオファーに安請け合いしてしまったのが運のツキで、それから数度多摩美での打ち合わせや、東京での役員会の出席など、正直なところ交通費全額自分持ちで片道約100Kmの往復をこなさなければならなかったのは、時間的にも財布にもイタかったのは確かだが、だからといってそんな理由でやめる訳にもいかず、ただ、事務局の担当者が同様に献身的に多くの仕事をこなし、他の役員の方々も全てボランティアで生き生きと仕事をされるのを見て、私も逃げ出す訳にはいかないと心に決めたのである。もし、私があの時JAM会場で多摩美のブースへ行かなかったら、その後の展開は全くなく、実に不思議な縁であると考えるのである。
幸い、役員の皆さんが力を合わせて様々な努力で告知活動に力を入れてくれたので、様々な年齢の方々からの応募があり、レベルの高い作品も数多く集まったのである。

11時からの作品展示に向け早朝から準備をして何とか会場は格好がついた。すると昨年卒業制作を担当した卒業生が見に来てくれた。彼は、現在夢であった鉄道デザインをする会社で充実した仕事をしている様子。とても嬉しい。
11時半からは別棟で行われている熊本センターさんの研究発表を拝聴し、展示会場に戻ると大阪から三太さんがみえられ、初めてリアルでお話をさせていただく。そうこうしているうちに、表彰式の行われる13時が近づく。だんだんと受賞者がおみえになり、小学生から大人迄時間には約50席用意した座席が満席に...。

小学生対象のA部門の受賞者は、ご両親や祖父母の方々までご一緒して見に来てくださり、実に和やかな雰囲気で表彰式が始まった。私は、賞状を受け取ることはあっても手渡す立場になったのは初めて。とても緊張する。忘れられなかったのは、A部門グランプリを獲得した小学生に賞状を手渡し、その後副賞のKATO N700系スタートセット(Nゲージ)を手渡したときの彼の嬉しそうな顔である。副賞については、中々決まらなかったため、最後迄公にはしなかったのが幸いしてか彼にとっては実に嬉しい驚きであったに違いない。(快く協賛していただけたKATOやその他企業様には心より御礼申し上げたい)
表彰が終了後、あいさつをすることになっており、その文言を行きの新幹線の中でパソコン片手(両手?)に考えて、壇上ではパソコンを横においてカンペ代わりに使うという離れ業で何とか乗り切った。(ホッ)

とにかく、今回のデザインコンペは大会としても初めてであり、私も他の役員の方々にも初めての経験。全てが初めてだらけの中で行われたので、おそらく時間的に無駄と思われることも少なからずやったと思うが、それは初めての中なのだから、経験すると言う意味では決して無駄な作業ではなかったと思う。初めてついでに言えば、「LRT&BRTデザインコンテスト」というもの自体が我が国では初めてではないだろうか。
そういう意味では、パイオニアであったのだから初めてが当たり前なのかも知れない。それにしても今回受賞者の方々と若干の懇談をした時も、皆現在の公共交通に憂いを感じ、そしてより良くしたいという気持ちにあふれていることが良くわかったのである。是非この気持ちを今回で終わらせず次に繋げたいと思った瞬間でもあったのである。

幸い、他の実行委員の方々からもデザインコンペが成功であったとのねぎらいの言葉をいただき、更には今迄の大会にはなかった雰囲気が今回のデザインコンペによってもたらされたと喜んでいただけたのは、本当に嬉しい言葉であった。(私は過去の大会に参加していないので違いがわからないが、どうやら専門的すぎて学会のような感じであったらしい...)
そのねぎらいの言葉をかけていただいた方は、LRTを語るにはなくてはならない1冊の本を執筆された1人でもある。(下にその本へのリンクを記す)

表彰式の後、楽しみであった市民フォーラムを聞くことができた。ここの講演者は、私がドイツで最初の2ヶ月間同じ語学学校で勉強した先生で、同じ交通分野の大学教授である。一緒に様々な議論(たわいない鉄道談義?)をしたり山登り(ハイキング?)をしたりと楽しい思いでを共有した方である。
フォーラムでの講演自体も期待以上のもので楽しくあり、かつ私が考え疑問に感じていたことに近いことを話して頂けた。それは、何故バスではなく、路面電車が良いのか?という極めてプリミティヴな質問から始まったのである。その場で3名程のLRT推進派の方々に聞くと、最初は表明的な通り一遍の答えしか出て来ない。講演者である先生が「ホントにそう思う?」とツッコミを入れるとようやく本音が出てくる。

実は、自分自身Karlsruheに住んでいる頃、路面電車の電停から中心市街地へ買い物などに出掛けていた(当時はLRTなんて言葉も知らず使い勝手の良い交通機関だと思っていた)のだが、そこからバスも出ているのである。しかし何故かバスより路面電車に乗ってしまう。それは何故かという疑問を抱きながらも答えが出せずにいたのだが、先生はこれの答えを用意してくれたのである。答えは「バスは自由で路面電車は不自由だから」である。つまり自由に動き回れるバスは、いつ路線が変更されたり廃止されたするかわからないし、そんな変更は日常茶飯事であるという。一方路面電車は、不自由である。何故なら線路の上しか走れないからである。つまり線路の存在が安心感に繋がるということ。感情的に人間は路面電車に信頼を抱くという。確かにその通りである。もしかしたら自分は「鉄」故に路面電車が良いという偏った見方をしているのかとも考えなくはなかったが、今回の先生の話で自信を持って「路面電車がバスより魅力的である」ということが言えるようになったのである。

最後は、懇親会では受賞者のお一人、そして熊本センターさんとの3人で鉄道やバスのこゆ〜い話で大いに盛り上がり、楽しい時間を過ごさせていただいた。
今回の大会では確かにボランティアで様々に大変ではあったが、多くの素晴らしい方々に出会え、そして少なからぬ絆ができたことが最も大きな収穫であったと思う。

さて、来年の大会は東京大学で行う予定であるという。デザインコンテストは来年もあるかどうかはわからないが、今回は少なくとも大会の場に一つの新しい風を入れることには成功したように思う。この大会は、何より市民レベルで立ち上がったもの。行政も研究者もNPOも学生も、そして一般の市民も参加してこそ意義のあるものである。何故なら公共交通は皆のものであり、共有の財産でもあるのである。デザインは公共交通に欠かすことの出来ない1つのファクターであり、そこには利用者と運営者の間を取り持つ触媒のようなものであるのだから。



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タグ:LRT
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コメント 4

三太

実行委員長おつかれさまでした.LRTは市民レベルの方が行政より活発なようですね.いろいろ勉強になりました.早退して申し訳ございませんでした.またよろしくお願いいたします.
by 三太 (2008-12-08 11:11) 

Akira

わざわざ遠方よりお越しいただき本当にありがとうございました。折角なのでもっとゆっくりとお話もできればとも思っていましたが、何も出来ず心苦しかったです。また機会もあるでしょう。今度はゆっくりと...(某店で?)
by Akira (2008-12-08 11:17) 

熊本センター

Akira様、三太様、大変お世話になり、ありがとうございました。またAkira様はLRTデザインコンテスト委員長、お疲れ様でございました。デザインコンテストの表彰式で表彰された子供さんの喜ぶ姿を見ておりますと、こちらも微笑ましく見学しておりました。子供たちは次代の公共交通のお客様ですからね!是非、これを機会に様々な公共交通に興味を持ってもらえたらいいなと思いました。
研究発表させて頂いた私にも大変充実したシンポジウムで、良い経験ができました。感謝申し上げます。実は5日(金)の夕方、時間があったので、都電荒川線に7年ぶりに乗りました。安心して楽に乗れることや、乗車中の不快な揺れが少ない点など、バスに勝る利点を再認識した次第です。

今日からまたいつもの田舎の乗合自動車屋に戻りました。また今後ともよろしくお願い致します。

by 熊本センター (2008-12-08 14:32) 

Akira

熊本センターさん、こんにちは。

バス(自動車)は、道路の整備に乗り心地を依存しなければならないので、良く整備された自動車道では、快適な乗り心地ですが、市街地などでは、往々にして工事など道路に段差があったり斜めになったりと、特に安定して良い環境とは言えないかも知れません。
軌道の場合、自ら保守をするので、ある意味全て自己責任です。つまり努力がすぐに自らに返ってくる環境下にあるとも言えましょう。
都電も池袋に延びれば多様性が生まれるでしょうし、なにより大型化の期待が膨らみます。乗り心地で言えば、Strassbourgのトラムは、すばらしいですね。線路と車輪のインシュレーターがここまで静粛性と乗り心地に影響するのには驚きです。
by Akira (2008-12-08 15:13) 

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