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3310 DB 012 081-6 / Ep.IV [Maerklin-Lok]

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久しぶりに蒸気機関車の紹介をしてみたいと思います。これは、DBの012形(BR01.10の重油焚き仕様)モデルです。これを購入したのは、私が大学時代初めてドイツへ行った1985年の冬のことです。この旅は、大学で学生の企画で行なったデザインツアーで自動車会社や家電メーカーなどのデザインを広く知るという趣旨でしたが、私にとって、この旅のもう一つの目的であったのが「訪れたドイツ各地の模型店巡り」で、初めてのドイツで実物の鉄道車輛に驚きと感動の中、ゲットしたいくつかのメルクリンモデルの中で、旅行前から目をつけていた一番の目的であったモデルでもありました。当時のこのモデルの日本での価格は忘れましたが、大学生だった私の懐具合では現地でないととても買えない金額でした。(初めてのドイツでは、通貨の違いで高いのか安いのか良くわからなかったこともあるかも..)

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[実車について]
012形は、1939年ベルリンのSchwarzkopf社(BMAG)にて01.10形として全機製造されました。本来は数社に合計で400両もの大量発注したようですが、当時の戦争の影響により結果として55両の製造のみに限られ、モデルの081号機はそのうちの1機でした。当初は流線型車体を纏った姿で、いわゆる01形の姿とは違うものでした。当初から01形と01.10形は形式的に近いですが、開発時点で設計が異なっています。
戦後は、カウルを外され運用に就いていましたが、1953年から新しいボイラーに換装されました。更に一部は重油燃焼式に改造を受け、モデルの081号機のEp.III時代番号である1081号機は、その対象となりました。
1968年の形式のUIC化によりBR 01.10の重油燃焼式はBR 012(石炭燃焼式はBR 011)となりました。このモデルは、キャブに記された配置文字がBD Hannover(ハノーファー連邦鉄道管理局)、Bw Rheine(ライネ機関区)と表記されているので、1972年頃の晩年期北ドイツで最後の活躍をしたBw Rheine所属時の仕様と思われます。
1973/74年ごろには運用から外され、1975年6月26日に廃車されました。現在はHeilbronnのSüddeutsches Eisenbahnmuseumに保存されています。

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[モデルについて]
このモデル(3310)は、1984年から1993年まで8年間リリースされました。その後は製品番号の変更を行わず車輪のニッケルメッキ化などのリファインを受け、車体番号を012 063-4として1997年までリリースを続けました。合計で13年に渡り03形モデルと共にメルクリンの看板商品の1つであり、DBの大型蒸気機関車の主力モデルとして発売されていました。

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これは私が初めて手にしたメルクリンの大型蒸気機関車なのですが、1985年当時はまだデジタルは発表されたばかり。メルクリンからリリースされているほとんどのモデルはアナログで私自身デジタル制御の概念すら良くわからなかった時代でした。よって当然購入したこのモデルは、3310というアナログモデルです。ただこのモデルの逆転機は、リレーではなく特殊な電子式でした。別売の漸次加減速設定機器とも言うべきアイテム(Elektronik6600)が用意され、これを使って制御すれば、設定された加速と減速をするとのことでした(「...とのこと」と記すのは、実際に試してみたことがないからです)。この考え方は、それまでの単に「走ってスピード制御できる鉄道模型」から、「実感的な走りを実現する鉄道模型」という鉄道模型の概念を変えるものでした。

今になって思えば、このモデルは当初から6090デコーダーで実現したお馴染みの漸次加減速と同じ概念を持って開発されていたのでしょう。目標とする概念を決めると、短期間で達成させることよりも長いスパンで技術を熟成させる意識は、メルクリンらしさの1つであると思います。デジタルについても当初はメルクリンH0以外ではアナログモデルしかなかった時代に同一レール上に80台の機関車やポイントなどアクセサリも個別制御可能でしたが、当時は非常に高額な価格設定で、ファンクション機能も前照灯のon/offだけでした。この3310機関車と6600で実現できた漸次加減速も当時のデジタルはできませんでした。漸次加減速可能になった第2世代デジタルは、その後しばらく経ってからです。

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ボイラーを外すとキャブ部分に台枠と一体になったモーターが見えます。元々は3極のDCMモーターがついていましたが、c90デコーダー改造セット(60901)でDCMモーターの回転子と界磁を交換し、5極直流モーターにしてあります。この改造により、動きが極めてスムーズになりました。
テンダー部分には電子式逆転機がありましたが、これを外しc90デコーダーを組み込んでいます。サウンドもないデコーダーですが、8桁のディップスイッチの右横に最高速度と漸次加減速値の調節ネジがあります。今のデコーダーはコントローラ側で設定するこれらの値ですが、当時はマイナスネジで設定していました。

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私のこのモデルは、当初特に良い動きはしていませんでした。何度か渋谷の店に修理に出しましたが、いつも今一歩の走りで、途中停止してしまうこともしばしばでした。そこで、数年前に前述したc90デコーダー(60901)を購入し、自身でデジタル改造を施すことにしました。しかしそこでも何度か頓挫し、ネットの掲示板を利用して、得意な人の指導を仰ぐことになり....。そしてようやく、漸次加減速とファンクション付きのデジタル化に成功。ファンクションは、私の好きな動輪灯も付けたいと思いましたが、台枠がその後のBR01.10モデルと違う構造なので諦めることになりました。つまり発煙だけですが、走りは快調です。(デジタル化後、一度急に走らなくなったので、東京・学芸大学のお店で見てもらったら、なんと集電シューの結線が外れていたことがわかりました。もしかしたら、これが根本の原因だったのかも知れません)
今やメルクリン機関車モデルは、サウンド付きが当たり前の時代となりましたが、人間の意識は簡単に変わるもので、今やサウンドなしの蒸気機関車が物足りないと思ってしまいます。このモデルが唯一の急客機として遊んでいた頃は、1番出番の多かった機関車で愛着もひとしおなのですが、もう1度サウンドデコーダーを取り付けるまでは遊びづらくなってるのが残念です。

改造してわかったことですが、この3310はBR01.10モデルの最初の機種で、同じ形式のモデルでもメルクリンでは少しづつ改良を加え、現在に至っていることが良く理解できました。それを鑑みてみれば、このモデルも含めて、いつの時代のメルクリンモデルも現在のモデルになるステップとして大切な役割を果たしてきたのではないかと思った次第です。

参考文献:
BR 01.10ものがたり / HUHさん
全盛時代のドイツ蒸気機関車 / Friedrich Witte + 篠原正瑛 著 誠文堂新光社刊

[EDIT]:2020-05-08


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