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2864 DB V160 003 / Ep.III [Maerklin-Lok]

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V160形の量産先行車であり、"Lollo"という愛称のディーゼル機関車です。この愛称は、当時のイタリアの人気女優 Gina Lollobringidaのグラマラスな容姿から連想された車体形状がその由来です。


▲ 動態保存のV160 003 Fahrzeugschau in Köln 撮影:筆者

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▲ 正面です。実車のDBマークとはポジティヴ/ネガティブで違いがあります。

モデルはDB急行列車セット(2864/2664)として1990年から93年迄の4年間リリースされました。このセットはデビュー当時のEp.IIIをプロトタイプとしたため、ライトグレーと紫赤色のツートンカラーです。1991年に同形機(3379/3679/3879)として赤一色でMHIより同じモデルがリリースされていますが、216 005-9というUIC番号のEp.IV仕様です。
[追記] また、2011年に同じくMHI製品として1回限りの限定生産でmfxフルサウンド装備の同形同時代(つまり同色で車体番号は004号機)モデル(37741)がリリースされています。

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1位側と2位運転室側面の外観です。これを見ると、窓配置レイアウトなどは量産車と同様運転席側が幅広の窓を持っています。また運転室扉の上部ベージュ色部分が左右山形形状をしているのが気になりました。造形的視点で観ると、この部分の形状の理由を知りたくなります。この部分の断面を見ると色が変わる線上で内側に折れていますが、何故山形になっているのかは今も不明です。なお、車体断面がほぼ同じの量産型の乗務員扉は右側のみ斜めになっていて左側は垂直になっています。

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V160と言えば、ドイツのディーゼル機特有のスラントしたスタイルを思い浮かべますが、この機関車は10両の量産先行車のうちの9両がこの車体形状を持つタイプで、ふくよかな柔らかい円弧で構成された全面形状を持ちます。主に北ドイツの旅客列車牽引に活躍しました。(メルクリンからも製品化されている010号機のみ、量産形と同じ形状の量産先行車です)
003号機の車暦は以下の通りです。

Krupp / 4046 / 1960 / V 160 / / B'B'-dh / 1435 mm

24.11.1960 Auslieferung an DB - Deutsche Bundesbahn "V 160 003"
22.12.1960 Abnahme
01.01.1968 Umzeichnung in "216 003-4"
05.03.1984 z-Stellung
30.04.1984 Ausmusterung
31.07.1985 an DB Museum Nürnberg, BSW-Gruppe Oberhausen-Osterfeld "V 160 003" [betriebsfähig]
__.__.199x an DB Museum Nürnberg, BSW-Gruppe Lübeck "V 160 003"

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実車の台車は4軸駆動ですが、このモデルでは、かつてはオーソドックスなメルクリンらしいモーターハウジングと一体化したダイカスト製台車の2軸がギアを介して駆動します。もう片方の2軸には集電シューが備わっています。

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▲ 車体側面中央付近に記されているネガティヴのDBマークと車体番号です。

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▲ 所属表記などです。上から「BD Hamburg」(ハンブルク連邦鉄道局)、「BW Lübeck」(リューベック機関区)、「AW Bremen」(ブレーメン修理工場)、「Unt 22 12 60」(1960年12月22日検査)とあります。北ドイツで活躍していたことがこの表記から理解できます。

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▲ 車体の丸みに合わせた燃料タンク(画像下側)の形状は量産車と異なる形状です。また、燃料タンク上には白地に赤文字で「Feuerloschanlage」(消火機器)と記されています。このハッチの中に消火器設備があるのかも知れません。

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▲ KRUPP社の製造メーカー銘板が金文字で印刷されていますが、手で触ると少しづつ剥がれてしまっています。

車体表記は総じて良好です。精細とまでは言えないものの、安心して眺められる程度レベルでありながら、老眼が進んだ私にはこれ以上細かいと確認できないレベルです。

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モデルを俯瞰して見たところです。屋根は全体的にあっさりしたディテールです。

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▲ ボディを外す時には屋根上の樹脂製ルーバーをマイナスドライバーで外すとネジが出てきます。このネジを外すと車体と台枠に分けることができます。

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▲ モーターは3極のLFCMだと思います。意外に強力な心臓を持ったモデルです。

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▲ このモデルはアナログのため、電子式逆転機が装備されています。同じセットのデジタル仕様(2664)は、この場所にデジタルデコーダーが装備されていると思われます。

私がこのセットを初めて見た時、どうしても欲しいという感情が込み上げて来ました。当時ドイツ留学中の私は通常見慣れた量産型の形状の218形や216形にはそれほど強い興味や意識はありませんでしたが、このふくよかな機関車は私を虜にしてしまったのかも知れません。今はまだデジタル化していないので走らせる機会も稀ですが、量産型の216形はサウンド付きもあるので是非将来的には、mfxデジタルサウンド化に挑戦してみたいものです。そうすれば、今よりもっと生き生きとした魅力が出て来るに違いないですから。

参考サイト:
Railways in Germany
Verbleib der Vorserien-V 160 / Histrische Bahn / Drehscheibe - Online

参考文献:
Die Lollos und ihre Nachfahren / 218 / Eisenbahn Journal 2/2009 Sonder-Ausgabe

[EDIT] 2020-04-24


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コメント 3

NO NAME

ある一人の人物が一本の線を引く時、その背後にはその人の思想やし好があるはずですが、意識しているかどうかに関わらず、国民性や時代背景もそこに加わってくるものなのでしょうね…ちょっとうまく言えませんが。昨日のV100もそうなのですが、ドイツの機関車はドイツでしか作り得ない形をしています。
箱形ディーゼル機関車のデザインというのは、なかなか興味深いものだと思います。蒸機のように動力機構が露出している訳でもなく、パンタグラフという機能に直結した視覚上のポイントもないなかで、どのようにそれぞれの特性を形にしていくか。ロロはその最も早い時期に出された魅力溢れる回答ですね。
by NO NAME (2007-05-08 01:56) 

kuma

上のは私です。また名無しで書いてしまいました。
メルクリンは某所に一台見つけていまして、実際魅力溢れるモデルです。やっぱり買おうかな??
by kuma (2007-05-08 01:59) 

Akira

まさにその通りですね。どうしてドイツの機関車や自動車、はたまた他の工業製品に至るまであのような形態(イメージでしか言い表せませんが..)になるのか?という疑問は、今の私にも言葉で表現できるところ迄はいきませんが、長かったようで短いドイツの生活の中で答えは出せたように思います。何しろそれが一番の目的で渡独した訳ですので...。私の中では、ドイツの機関車はきっと心に響く形態なのでしょう。
by Akira (2007-05-08 08:50) 

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