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TEE 55/56 "Blauer Enzian" 〜2009 新製品から [Maerklin-Reisezugwagen]

今年の新製品のうち、私が最も期待しているモデルの一つはTEE客車群である。それも62系列の開放室客車や区分室客車は、既に2年前の「TEE Rheinpfeil」からリリースされているし、昨年にはバー車も「TEE Bavaria」でリリースされているので目新しくもないのだが、132形食堂車は今年初めてのリリースとなる。
当時の西ドイツの南北を結ぶ長距離列車として、メルクリンからは「TEE Blauer Enzian」、TRIXからは「TEE Rolad」が、それぞれ6両編成 x2の12両のディスプレイ仕様である。

今回はその中でメルクリンブランドでの「TEE Blauer Enzian」について触れてみたい。

[実車について]
■ F-Zug時代
1953年から始まった「Blauer Enzian」の名前は、当時のF-Zugからであった。第二次戦後の西ドイツの長距離列車は1951年のF-Zugネットワークで開始されたが、北ドイツのハンブルクから南ドイツのミュンヘンを結ぶ重要な路線の一つとして運用されていた。その2年後、このF-Zug列車に「Blauer Enzian」の名前が冠されたのである。ご存知のように、その当時の客車はHWZで名を馳せた展望室付きの固定編成客車を鉄青色に施し、赤い銘版に記されたこの名前を付けて1959年迄走った姿は有名である。(1957年に展望車は編成から外されている)

■ TEE時代
1965年には、Hannover以南のみ電化されていたこの路線もようやくHamburgまで電化が完了し、この列車もTEE化(TEE 55/56)を果たす。もちろん機関車も客車も専用の車両が用意され、当時の最新であった62系列TEE客車を最高速度200Km/hに達するE03が牽引する列車となった。この客車には、Rheingold/Rhienpfeilでお馴染みのドームカー(ADm101)は組成されず、代わりに1等区分室の他、荷物室、乗務員室、座席数が拡大されたバーの機能を持つバー車(ARDmh105)がその任にあたった。あわせて食堂車も一部2階建ての瘤付き食堂車(WRmh131)ではなく、平屋の食堂車(WRmh132)が組成された。いずれも全長が26mから27,5mに拡大されている。
1966年には、例外としてAugsburg - Münchenで試験的に営業最高速度200Km/hの許可がおりている。1967年には、夏ダイヤからTEE 54/55に列車番号が変更になる。また、Augsburg - Olchingで正式に営業最高運転速度180Km/hを許可し、当時としてはDBの最高速度を誇る列車となった。同時に列車内にある秘書室には、列車外への無線設備を導入した。(列車電話?)
*上記のことからメルクリン新製品カタログに記されている「TEE 55/56」の信憑性に関しては、今のところ???である。

その後は、1979年迄TEE列車として、また79年以降はICとして営業運用されていた。

[モデルについて]
メルクリンの新製品となる今回のTEE客車は1967年の仕様をモデル化したもの。つまり、まさに今回の新製品であるE03とTEE客車が共に組んで走った時代である。E03はHamburg-AltonaとNuernberg Hbfを牽引し、Nuernberg - Muenchenは、103.1又は、E10形牽引(E18形?)であろうか。

このモデルの解説では、単品でも購入可能な12両のうち6両 x2編成という考え方のもと、6両は北行きのサボが印刷され、残りの6両は南行きが印刷されているとのこと。ARDmh105の全長が他の客車と同じ282mmであることから、食堂車も282mmである可能性が高い。メッセのハンドマスターモデルで見る限り、それ以上の長さにはなっていないようで、尾灯の位置も他の客車同様腰の高さにある。
また、E03については、今回の新製品はワンアームパンタグラフの仕様であるが、以前の菱形タイプモデル(3053/39573)でも良いだろう。(有名なE03 004が牽引する同列車の画像は、1967年9月の撮影である)
また、今回のE03からは、メルクリン伝統のキャブ屋上のネジがなくなるそうである。

今迄2年続けてリリースされていきたDBのTEE客車は、RheinpfeilやBavariaと、ちょっと特殊な部類な列車であったが、今回は、まさにTEEの王道をゆく一般的な組成となった客車群であるから、それだけに列車名にもこだわらず様々なTEE列車として楽しめると思う。そういう意味でも大歓迎のモデルであるがゆえ、早く手元に届いて欲しいモデル群である。とにかく新しい132形食堂車と共にE03形も楽しみなメルクリンのTEE関連新製品である。

[運用路線図]
http://homepages.cwi.nl/~dik/english/public_transport/TEE/m/mr/enzian01.html

参考サイト:Wagendisplay TEE 55/56 „Blauer Enzian“ / メルクリン・ドイツサイト
http://www.maerklin.de/de/service/suche/details.html?page=&perpage=10&level1=2341&level2=2346&newprod=1&art_nr=00776&search=1&era=4&gaugechoice=2&groupchoice=2&subgroupchoice=0&catalogue=0&features=0&searchtext=TEE+&backlink=%2Fwww.maerklin.de%2Fde%2Fservice%2Fsuche%2Fproduktsuche.html

Elektrolokomotive / メルクリン・ドイツサイト
http://www.maerklin.de/de/service/suche/details.html?page=&perpage=10&level1=2341&level2=2346&newprod=1&art_nr=37575&search=1&era=4&gaugechoice=2&groupchoice=1&subgroupchoice=3&catalogue=920&features=2&searchtext=&backlink=%2Fwww.maerklin.de%2Fde%2Fservice%2Fsuche%2Fproduktsuche.html

参考文献:
Die Geschichte des Trans Europe Express / Alba Verlag
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コメント 6

300B

次はF-Zug時代の鉄青色HWZの製品化を期待したいです。
色の塗り替えだけなので簡単だと思うのですが...
(リバロッジが製造キャンセルしたのでがっかり)
by 300B (2009-03-22 18:25) 

Akira

こんにちは、300Bさん。

そうですね。HWZ客車は既にありますから、是非今度はEp.III仕様を期待したいです。その時は、室内照明と尾灯を用意してもらえれば、HWZ客車にも使えますし...。
V200.0形に牽引させた姿も見てみたいですね。
by Akira (2009-03-22 20:33) 

P-ZUG

こんにちは。Akiraさん。

 枚方の某氏もメッセの展示品を見たらE03にキャブ屋上のネジが無いので新金型だと申しておられましたが、後日私がメッセで撮影したE03の写真を拡大して見ると伝統のネジがしっかり写っていました。パンタの隠れて見えにくいので気にならない位置ではありますが。
 さて、量産品はどうなって来るか楽しみです。
by P-ZUG (2009-03-23 07:28) 

Akira

P-Zugさん、こんにちは。

メッセで展示してあるモデルはハンドマスターですから、必ずしも同一という訳ではありません。まぁ、良くなることはあるにせよ、悪くはならないでしょうから期待して待ちましょう♪
by Akira (2009-03-23 08:15) 

東西急行

Akira様、東西急行です。
HWZは羅天型指向の私も見るなり引き込まれた編成
です。機関車(ダブルエンダータンク式)と永久固定連結
客車が一体となった高速列車である点は我が国技術陣
が関与した「あじあ号」と共通であり、且つ蒸気牽引高速
列車としての完成度は明らかに越えています。
併せて当地では珍しい車端展望室配置(荷物室の向こ
うにも展望台)である点も見逃せません。
旧式化と運用上の不便によりドーム展望車編成に更新
された感は否めませんが、歴史に残る一作と存じます。
附記:HWZは、1/160では就役当初と青竜胆号仕様と
がArnoldより発売されておりました。機会有らば欲しい
編成です。
by 東西急行 (2009-03-23 21:16) 

Akira

東西急行さん、こんにちは。

HWZは、私も非常に興味がありまして、資料も結構あります。当時のドイツ帝国中心地BerlinとDresdenを高速で結ぶ客車列車として、機関車と客車の統一した編成としての開発や、それに伴う数々の普遍的技術の実用化は、特筆に値するものです。特に専用の61形蒸気機関車は、客車と同じ紫/クリームに塗装され、機回しの時間短縮を目的としたテンダーレスのボディと流線型のスタイルは、当時としては驚くべきものです。特にSchafenberg Kupplung(自動連結器)は、今でも使われていますし、世界の標準的な礎にもなっています。
逆に車端の客室展望車が片側のみのため、後のドームカーに繋がったのは、いかにもドイツらしい解決方法と言えます。日本では、三角線を使って列車を丸ごと逆にさせたのとは、コンセプトが違い興味深いです。(ドイツは高速と時間短縮が命題のためそのような余裕はなかったのでしょう)

一方メルクリンのHWZモデルは、不幸でした。61形機関車は、当初から走行の不具合が酷く二回ほど修理に出しました。また、メルクリンの蒸気機関車らしくなく発煙が出来ません。
客車についても、尾灯や室内照明は用意されていないため、インサイダーモデルらしからぬモデルで実車の栄光はモデルがスポイルしたような印象になってしまいました。

少し画像が抜けていますが、PwMサイトでHWZを紹介しています。
http://www.thundernet.or.jp/~PwM/NhR-26610.html

by Akira (2009-03-23 21:40) 

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