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42941 DB AB4üwe-39 / Ep.III [Maerklin-Reisezugwagen]

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2007年8月8日の記事「Schürzenwagen / DB Ep.III」で、単品発売となったカタログモデルが手に届き、「初めて」とEp.III仕様の濃緑色のSchürzenwagenについて記したが、実はそれ以前に1/2等合造車1種のみではあるものの、同じ仕様のSchürzenwagenがリリースされていたのである。これは、先日から1両づつ紹介している「Riviera-Express」セット(42941)に同梱されている唯一のSchürzenwagenである。セットもの故気づかなかったのである。改めてこのセットをみると、DB車両も戦前モデルからUIC-Xまで3つの車種系列があり、更にFSの客車も入っているなど、実にバラエティに富んだセットである。

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このSchürzenwagenについては、多くを記さずとも良いと思うが、今でも食堂車など動態保存化されてはいるものの、今でも活躍している息の長い客車である。それだけ性能が安定していて車両数も多く利用車からも愛された車両であることがわかる。私もこの車両のファンの1人であるのだが、それだけ息が長いとバリエーションも豊富で、メーカーにとっても良いモデルなのであろう。メルクリンでは比較的新しいモデルと言えるが、メルクリンらしい適度なディテールと素晴らしい走行性能、そして短い全長を活かしてフルスケールであるということが、このモデルの魅力と言えよう。更に、区分室車3種(Ep.IIIa以前は4種)、荷物車、郵便車、食堂車、寝台車、更に特別車(サロンカー)、事業用車など、多くの派生車種をも製品化されている点である。
また、同じ39系列客車にも関わらず実車の全長が形式によって異なるのであるが、メルクリンモデルもそれに合わせて異なった全長で製品化されているのは、いつにない取り組み方とも言えよう。特に食堂車がフルスケールで27cmになるのは、それ迄の実車26.4mをスケールダウンした標準全長の26.4cm/27cmと同じになってしまうにも関わらずであった。しかし28.2cmモデルへの移行が進むと混成させても違和感が少なくなり、当時から28.2cmモデルへは視野にいれていたのかも知れない。

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さて、そのモデルであるが、くすんだ深い緑色(Flaschengrün)に塗装されたボディは、蒸気機関車がまだドイツで健在だった時代に相応しい色合いである。汚れも目立ちにくくドイツ人がこよなく愛するもみの木の緑である。広葉樹は冬には葉が落ち枝だけが残る肌寒い光景となるが、森に残る針葉樹のもみの木は、寒い冬でも葉が落ちず、緑色の景色を保っている。彼らにとってこの緑は力強さや忍耐を象徴する色なのかも知れない。

印刷は、前回紹介したFS客車と変わらぬ鮮明な印刷である。DBマークの下に形式表記がないことで、DBマークの存在感が際立っている。

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サボであるが、こちらも興味深い。この車両の運用はKurswagenと思われるが、Roma発となっている。おそらくMilano Cで、Ventimigliaから来た他の車両と併結されてスイス、ドイツへと向かうのであろう。いずれにしても「Riviera-Express」のBasel以南の編成を知りたいものである。

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さて、冒頭に同形単品モデル(43232)について記したが、そのモデルを並べてみた。手前が今回紹介しているモデルで、奥が単品モデルである。
違いを探してみると、まず気づいたのは屋根の尾灯ランタン受けの有無である。当時は尾灯はランタンを引っ掛けるのが普通で、ようやく1950年代あたりから26.4m客車の尾灯内蔵型の客車が登場している。
Schürzenwagenの場合、尾灯は屋根に載せている姿を写真では見かけるのだが、単品モデルでは屋根上の尾灯設置台座が省略されているので、この車両が最後部の場合は、どこに尾灯ランタンを付けたのかはわからない。ご存知の方は教えていただければありがたい。
また、形式表記の高さが異なるのが画像で確認できる。実車画像を見ると両方のパターンがあることが確認できたので、どちらが間違いということではなさそうである。なお、単品モデルの2等車側は、形式表記が高い位置に印刷されているが、1等車側は等級帯があるため、低い位置に印刷されており、よって2つとも同じ位置になる。

「Riviera-Express」は、その長距離運用から組成バリエーションも牽引機関車も様々である。今のところドイツ国内のみ組成がほぼ解明していると言えるが、スイス(Re4/4 I ?)やイタリアなど、興味深い部分が多々あり、それぞれの得意分野の方々と解明でき、あわよくばその編成を模型で再現出来れば本当に楽しい作業になると思う。

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コメント 5

東西急行

Akira様、東西急行です。
仰る通り"Riviera-Express"セットは数有るPersonenwagen-setの中でも僅か七輛の中に三〇年分の各車輌が詰め込まれた具沢山編成の一つと存じます。
またSchuerzenwagen(御紹介のABmの他Speisewagen及びschlafwagen der DSG)、先次大戦前の28型急行荷物車等の蛇腹幌と、既に御紹介頂きましたFS-UIC-Xのゴムチューブ幌で併結出来るのかと気になる箇所も山盛りです(走行中は施錠され、乗務員しか往来しないのであれば問題無いのでしょうが)。
by 東西急行 (2009-09-08 20:17) 

Akira

こんばんは、東西急行さん。

今日は、この「Riviera-Express」のスイス以南について調べました。グーグルイタリアで検索するとドイツ以上に引っかかりますので、やはりイタリアでのこの列車の存在感は小さくはないと確信しました。
歴史もある列車名なので私の欲しい1960年代初頭というのは中々見つかりませんが、興味深い資料が出て来ています。
FSのTipo 1959客車もこの列車に組成されていたようで興味深かったです。
連結部分の幌の違いはどうしたのでしょうね。80年代では蛇腹幌の部分にゴム幌を付けた客車もありましたが...。
by Akira (2009-09-08 21:33) 

Berliner

リビエラエキスプレスの記事、興味深く読ませて頂きました。
ペーパークラフトのNDL Potsdamを作りながら、戦前のドイツ極東航路や日本欧州航路に興味を持ち、「リビエラエキスプレス」の情報を探していて、貴ブログにたどり着きました。
極東航路のヨーロッパ半島迂回分をショートカットする鉄道の旅はどんなものかと考えながら、メルクリンの客車を眺め、記事を読みました。勉強になりました。
by Berliner (2012-04-06 07:12) 

Akira

Berlinerさん、おはようございます。
はじめまして。Spielkisteへようこそ。

「ベルリン造船所」を拝見させて頂きました。同じ模型の世界でも紙工作による船舶模型は奥深く感銘を受けます。
進捗状況の記事には思わず引き込まれて暫く読みふけってしまいました。完成迄半年以上掛かりそうなモデル製作はまさにモチベーションと忍耐のせめぎ合いの世界で、まさに家の中での生活が長い欧州ならではですね。
私は、知見がほとんどない船舶の世界ですが、戦前の鉄道模型から実車を調べるにあたって、当時の日本と欧州の航路を調べると、敦賀港から大陸に渡って欧州に至る方法と神戸港から欧州(シェルブール?)へ直接渡る方法の2つがあったようで、回想するだけで大冒険旅行のワクワク感がもたげてきます。

Berlinerさんが、1/250の船舶模型を製作されていることを知り、もしかしたら1/220のメルクリンZゲージがスケール的にも近いので合うのかなぁ、なんてことも思ってしまいました。完成迄記事を楽しませて頂きます。

さて、「リビエラエキスプレス」ですが、まだまだ良くわからない点が少なくなく、ダイヤ改正の度に路線や編成も変わったりするので中々全貌が掴めません。これは絡まった糸の塊をほぐすような作業でやはりモチベーションと忍耐が必要ですね。
by Akira (2012-04-06 09:43) 

Berliner

Akiraさん、ご返答有り難うございます。Zゲージ、私も少し知っています。昔Nゲージを少しやっていました。グリーンマックスの旧型客車など作っていました。
「リビエラエキスプレス」は実は奥が深いようですね。掲載されていた模型客車のサボにHamburgとあってはっとしました。まさに北海と地中海を直線で結ぶルートではないですか。
極東と西欧を結ぶルートにはとても関心があります。Arera Mookに『昭和の鐵道と旅』というのがありますね。とても興味深い内容でした。欧州へのルートは、シェルブールやマルセイユ、ジェノヴァなどへ海路で至るルートと敦賀を出てシベリア鉄道経由のルートの他に、太平洋を渡ってアメリカやカナダ経由で最後は大西洋航路でヨーロッパに至るルートも結構使われていたようですね。谷崎の『細雪』にもそうやってハンブルクに帰ったドイツ人が描かれていました。こちらは、シベリア鉄道よりは時間がかかったもののインド洋経由よりは速達だったみたいですね。
第三国に上陸せずに西欧と極東を行き来できる海路は、4週間以上もかかりますから、それだけ理由のある人が使っていたのかも知れません。例えば政治、外交、軍事的にとか。
「リビエラ急行」の追加情報も期待しています!

またお邪魔します。
by Berliner (2012-04-06 21:47) 

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