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IC3 / DSB Ep.IV [欧州鉄道]

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再び1980年代に撮影した画像から、今回はDSB(デンマーク国鉄)のIC3について触れてみたい。ゴム製の幌が顔の1部となっている独特のスタイルがユニークなデザインとなっている3連接の気動車である。

このIC3を初めて知ったのは、日本で大学生の頃だったろうか。DSBがCI計画を新たに行い、その明快なコンセプトとトータルなデザイン戦略の効果で利用者数を大幅に伸ばしたということが、私の耳にも届き、CI計画の授業の調査でDSBのCIマニュアルを持っているデザイン事務所迄見せてもらいに出かけたことも懐かしい。とにかく「鉄道」と「デザイン」が深く関わることを知った1つが、DSBのCIであり、それとほぼ同時に登場した気動車のIC3である。

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IC3はアルミ製車体に真っ白に塗装され、両開きのプラグドア部分に屋根迄回り込んだコーポレートカラーの赤が効いていて明快かつ美しい。この車両を目の前にするとDBなどの車体色の車両が古くさく感じるほどのモダンな色彩である。

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更に驚いたのは、この車両の独特な前面デザインである。このIC3の運用は、デンマークという多くの島々で成り立つ地勢的条件からフェリー航送のルートが少なからずあり、車両の乗船時に分割が必要であること。また首都のコペンハーゲンから長編成で走り、途中駅で分割し最終目的地迄は短編成で走るなど、連結や解放が多く3両固定編成となっている。そこで上画像のように、連結時には先頭車の特徴的な前面ゴム幌同士が隙間無く当たって、まるで中間車同士の連結風景のようである。実際初めてこの姿を見たとき、最初先頭車とは気づかなかった程である。

更には、この先頭部分が連結時には前面窓を含めて全て貫通路になっている。つまりゴムの内側全てが扉であり、それを運転台ごと畳んでカバーをするだけで瞬く間に、乗客からは単なる通路にしか見えないようになるのである。まさにマジックを見ているような感覚に襲われるほど..である。

DSBのIC3については、色彩もそうであるが、造形についても非常に良く考えられ緻密に計算された美しいデザインで仕上がった車両である。この車両のデザイナーは、デンマーク人のJens Nielsenである。ドイツの美大を卒業した私は、求職中にスロベニアでICSID(世界デザイン会議)に行く機会に恵まれたのだが、その中で楽しみにしていたのは、A. Neumeister氏とJ. Nielsen氏の講演であった。しかし、Nielsen氏は、その直前他界してしまい、結局彼の講演を聞くことは出来なかったのは残念であった。(Neumeister氏とはこの時初めて出会い、私の作品を見て貰い評価も頂くことが出来たのは嬉しかったが..)

今回は、IC3の外観のみについて触れたが、後日車内インテリアについても画像とと共にここで紹介で切ればと思う。既に30年以上経っている車両であるが、今見てもIC3は斬新そのものである。

メルクリンからは、一向にIC3の製品化の話は聞かない。オランダ程の売り上げがあれば製品化もたやすいのかも知れないが、いつの日にかこの素晴らしい車両をモデルで手にしたいと思うのである。
タグ:Ep. IV DSB IC3
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