29010 DB 01 1060 / Ep.III [Maerklin-Lok]
昨日紹介したDigital-Startpackung "Reisezug"(29010)は、中々反響が大きく、早速セットの詳細を紹介したいと思います。その最初は、もちろんセットのハイライトである01.10形機関車モデルです。この機関車モデル自体は既にカタログモデルとしての定番と言っても良いくらいのDBの旅客列車用蒸気機関車です。1984年に01.10形に高性能ボイラを載せ換えた重油焚きBR 012(3310/3610)として登場して以来、少しづつ内外をリファインさせて、今年で24年にもなります。しかしながら、未だその容姿は色褪せず様々なバージョンをリリースしながら今日に至っています。ギミックにしても3310ではアナログ(電子逆転機+漸次加減速準備機能付)でしたが、今回の最新のモデルでは、サウンド付きmfxデコーダーが内蔵されています。
一方、スタートセットのモデルであるが故に、コスト優先の部分ももちろんあると思います。(01 1066 / UEF (37101)のような緻密な色差しなどない)装飾のない地味な外観や、通常の5極DCMモーターなど、オーソドックスな仕様が起因しているのかも知れません。
もっとも、今回のモデルは動輪灯が点灯したり売り物のサウンド機能が充実しているので、上記については私にとって全く問題ではありません。
問題があるとすればDCMモーター特有の走行ノイズが出たことでぐらいでしょうか。しかし、これは注油することですぐに解決すると思います。最新のSDSモーター搭載モデルに慣れてしまうと、メルクリンらしいいかにも鉄道模型というに相応しいノイズを忘れてしまって、煩いと感じてしまう自分に驚いています。
[実車について]
▲キャブ廻りのディテール
▲テンダーの表記
このモデルの実車である01.10形は、1939年にL. Schwarzkopf社(BMAG)にて製造され、1060号機もその1台でした。元々のDRGからの発注台数はメーカー5社400両余りでしたが、当時の戦局によりBMAG1社で合計55両にとどまりました。登場時から終戦までスタイルも01形とは大きく異なる流線形カウルを持った車体でした。製造直後は、Bw Berlin Anhalter Bf.(ベルリン・アンハルター駅機関区)に所属しました。この駅はベルリン市街戦で大破し、現在は駅機能はなく、駅舎中央部分がモニュメントとして残されていて敷地は公園になっています。扇型機関庫はベルリン技術博物館施設の一部となり、鉄道車両の保存展示がこの機関庫にあります。
1943年には現在のポーランド領ヴロツワフのBw Breslau(ブレスラウ機関区)に所属されていて、先に紹介した01 1056(011 056-9)と同じ機関区でした。
終戦後は、Bw Braunschweig Hbf(ブラウンシュバイク中央駅機関区)に疎開していたようでした。1950年前後に01.10形全機を復帰させることになり、流線形カバーを外すことになります。1952年にはBw Hagen-Eckesey(ハーゲン・エッケセイ機関区)に所属していました。1958年2月末までには、高性能ボイラに交換と重油燃焼式になりました。この時の所属はBw Osnabrück(オスナブリュック機関区)で、この機関車モデルの仕様と重なります。1961年時点でも所属は変わらず、この頃が01 1060にとって最も活躍した時代であったのではないかと推測できます。Hannover - Löhne - Osnabrück - BentheimのOst-West-Strecke(東西路線)での運用やBremen - Osnabrück、Hamburg - Osnabrückなどの運用は、この機関区の01.10形にとっては重要な役割を果たしていたようです。1965年の時点でこの機関車のいたBw Osnabrückは同機関車最大の基地でありました。
1968年のUIC表記化により重油燃焼式であった01 1060は、012 060と形式変更されました。同年9月にはOsnabrück - Hamburgの電化が完成し、01.10形による運用も終了しました。これに合わせて012 060は、Bw Rheine(ライネ機関区)に移籍、1970年には同機関区に所属していた記録がありますが、その後1972年6月22日付で運用から外され、11月8日付で廃車されました。
画像では、BD Münster(ミュンスター連邦鉄道局)、Bw Osnabrück Hbf(オスナブリュック中央駅機関区)の表記、キャブ下の直近検査日(1963年11月12日)表記が確認できます。そして上記の車暦から、モデルの仕様は1963年から1968年のUIC番号化以前の期間に当たると思います。
[モデルについて]
▲動輪廻り
このモデルは、2008年に1年間のみリリースされました。リリース期間が短かったため、ある意味貴重なモデルなのかも知れません。この機関車モデルは、5極回転子を持つDCMモーターで安定した走りを実現します。サウンド付きmfxデコーダーは、大型スピーカーと共にテンダーに内蔵しています。ファンクションの1つに動輪灯があり、これを灯すと動輪が美しく浮かび上がります。
▲前面上部廻り
01.10形新型ボイラ装着機関車の特徴である前頭部右側の配管類は、この機関車の力強いイメージを更に強くしているように思います。
▲テンダー上部廻り
重油燃焼式のテンダーは石炭が見えず背の高い重油タンクがダイナミックで特徴的な造形です。
▲モーター廻り(テンダーには赤い消火器?が別パーツで付いています)
ボディを開けると、前部に動輪灯の基盤が見えます。
モーターはオーソドックスな直流DCMです。回転子は5極のため、スムースな低速走行が可能です。
テンダー内部のデコーダー基盤とその下には大型のスピーカー。アナログ時代には鉄製のウエイトが別にありましたが、今はスピーカー台座がウエイトの役割をしているようです。
機関車の前部と後部の正面です。
同じ重油燃焼式の012形(3310)と並べてみました。基本的には同じ機関車ですが、メルクリンH0で初めての01.10形モデルである3310と、それから20年以上経った29010モデルではそれなりに進化の跡が見られます。車輪のニッケルメッキなどは目立つ部分ですが、煙突の太さ、台枠に付随する砂撒き装置などがそれでディテール向上が見られる他、各種ピクトグラムのレタリングが増えています。
また、実車同様、ランボードの朱色塗装が正面まで回り込んでいることが目で見てわかる違いでしょうか。
▲私の好きなアングルを最後に...。大型蒸気機関車のこの姿に萌える....。
参考文献:BR 01.10ものがたり / HUHさん
[EDIT] 2020-05-13
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