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懐かしの?甲種車両輸送(11) [日本の鉄道]

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前回のゴハチ牽引の営団車両の写真と共に出て来たもう1枚の甲種車両を牽引しているゴハチのトップナンバーの写真です。この甲種は、おそらく京王6000系電車でしょうか。撮影日は、1981年9月28日とあります。最近我が家で発掘された?当時の運用予定をまとめた紙面によれば、神奈川臨海通運向け電車として日本車両製造から塩浜(操)までの新車輸送とあります。その新車である京王6000系は既に廃車となっています。私が新宿から高尾駅まで京王を使って通っていた大学生時代は、京王電車といえば、ほぼこの形式だったこともあって、自分自身の京王のイメージは6000系です。

甲種で輸送されている時は、軌間の違いから仮台車を履いて走行しているはずです。ただ、車体断面は、国鉄の車両限界内であるのでしょう。撮影場所は写真にデータを記していなかったので何とも言えないですが、東海道本線の函南 - 三島だと考えられます。

牽引機は、ゴハチのトップナンバーである1号機。小窓に黒Hゴム支持、外ハメ式の尾灯ケースと決して美しい姿とは言えないものの、やはりトップナンバーを確認した時は嬉しかったはずです。

参考サイト:京王6000系電車 / Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/京王6000系電車

参考文献:RAILGUY '82 Sumer / 青鈴書房

伊香保電車の移設保存 [日本の鉄道]

以前当ブログで、伊香保電車(いわゆる路面電車)について写真集の記事を書いたことがある。この路面電車、もう半世紀も前に廃止され既にこの電車が走っていた姿を知っている人は少なくなっているのだが、実は私が役員をさせて頂いているぐんま日独協会の名誉会長のご自宅の庭に、この路面電車の車体がある。残念ながら下回りはなくコンクリートの台座の上に車体が鎮座している格好である。とは言え、私が見たときは、保存状態は極めて良い。時々来客があると、この電車の車内に案内されるようなので、動かないものの、そこそこ使われている状態のためかも知れない。

その路面電車が伊香保峠三差路のミニ公園に移設、保存されることになった..と今日の地元新聞に掲載されていた。(以下、ウエブ版サイトページ)

http://www.raijin.com/ns/9613608528229268/news.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

最近、部屋の片付けで発掘した撮りだめたEF58の写真を見ながら、現存する同機について調べてみると、車籍が残っているのは61号機のみで、あとは全て廃車扱いである。大宮や名古屋の鉄道博物館、横川の鉄道文化むらには静態保存されたEF58がいるが、その他は数機しかなく、しかも前頭部のみだったり、車体が切られている保存機もあり、しかも個人所有の保存機(36号機)は、オーナーが故人となったこともあり荒廃が進んでいる画像を目の当たりにし、鉄道車両の保存の難しさを感じたのである。36号機は、35号機と共に2両だけの側面7枚窓だけに、その荒廃ぶりは残念でならない。

さて、話を伊香保電車に戻すと、この唯一の保存車体も伊香保温泉の活性化という新しい役割を担って個人所有から渋川市の保管となり、一般に公開されるという。心配なのは下回りをどうするのか?という点や、雨ざらしになるかどうかという今後の保存管理にも興味は移るのだが、個人所有から行政の管理になるというのは基本的に現状では最善ではないかと思うのである。現所有者である名誉会長も既にご高齢であり、先に述べたEF58 36号機のような惨状になると手の施しようもなくなってしまう。

昭和30年代迄、高崎 - 渋川、前橋 - 渋川、そして勾配区間の渋川 - 伊香保を走ったこの電車が、確かに存在したという唯一のリアリティある証拠でもあるこの車体が、今後長く良好な状態で伊香保を訪れるお客様を見守って欲しいと願わずにはいられないのである。
移設前にもう1度写真を撮りに行きたいと感じた路面電車である。

タグ:伊香保電車

懐かしの?甲種車両輸送(10) [日本の鉄道]

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昨年末からだらだらと片付けをしているのであるが、最近30年ぐらい前(つまり大学入学前後)に撮影したEF58の写真が大量に見つかって、撮り鉄だった当時を思い起こして懐かしく様々なゴハチの写真を見入っている。そして、それらの写真の中に何枚か甲種車両輸送の写真も見つかったので、久しぶりに「懐かしの?甲種車両輸送」として当ブログに記してみたい。

上画像が、その甲種輸送列車である。1981年7月20日、撮影場所は大船駅である。牽引するのはお召し予備機として名高いゴハチの60号機である。ワフに挟まれた甲種車両は当時営団の6000系10両(千代田線向け)である。残念ながらカラーではなく、白黒写真である。

甲種の6000系は、新車なのか、何か別の理由で移動しているのかは不明であるが、恐らく日本車輌からの移動中であろう。画像を見る限り、まだ冷房装置も屋根上に見えない。6000系が出来たのは、確か私が中学生ぐらいの時だったろうか。今迄の車両とは全く異なるモダンな外観と、同様に木目の仕切や妻部の壁、そして貫通扉のない車端部など、それ迄にないインテリアデザインが新鮮に映ったのを憶えている。
タグ:甲種 EF58 JNR

懐かしの?甲種車両輸送(9) [日本の鉄道]

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もう甲種のプリント写真などない..と思い込んでいたが、バラバラに整理もせず散乱していたプリントを見ていたら、なんと上画像のカラープリントが出て来た。甲種車両輸送の撮影に励んでいたのは、高校生から大学1年生ぐらい迄の「撮り鉄」時代のことであるから、ほとんどは白黒写真(理由はもちろんフィルム代)である。しかし、たまに懇意にしている写真屋から有効期限間近のコダックベリカラーと呼ばれるマイナーなカラーネガフィルムをタダで貰ったりして、おそらくこのカラー写真もそうであろう。

さて、画像にあるのはDE10に牽引された東急の車両と想像できる。緑一色の旧型車両なので池上線用なのか目蒲線用なのか、それとも異なるのかは不明だが、今はきっと解体されている車両と思う。場所は横浜線あたりだと思うが、これもプリント裏に何も記されていないので記憶に残らない当時の一コマである。撮影日時も不明だが、おそらく昭和56年あたりだと思う。

もしご存知の方は、教えて頂ければ有り難い。
タグ:JNR DE10 甲種 Ep.IV

撮り鉄時代の記憶〜 日本一周ブルートレインの旅「駅」号 [日本の鉄道]

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久しぶりに私が撮り鉄だった1981年の頃の白黒写真を..。この写真は、バラバラに缶に入っていた沢山のプリントを眺めていて見つけた1枚。EF80が20系客車を牽引している写真である。ヘッドマークには「駅」の名前と日本地図が描かれている。場所は常磐線のどこかである。ほとんどこの時の記憶は忘却の彼方...。

少しばかりネットで調べてみたら、当時私と同じように日々終焉間近のEF58を追いかけながら、時折このようなイベント列車を撮影している方のブログが見つかり...記憶が蘇って来た。この列車は、「駅」という題名の邦画に合わせて企画された日本一周の旅に出たイベント列車である。時は1981年夏。20系客車を従えて日本全国を様々な機関車に牽引されて走った。東京駅をEF65 PFに牽引され出発した姿を撮影したか否かはプリントを見つけていないので記憶が薄いが、画像は常磐線沿線でEF80(1次車)に牽引されて一路上野へと戻る姿である。

最近はドイツでも数日を掛けた南西ドイツ一周旅行など、興味見深いイベント列車の報告がされているが、80年代には日本でもこのようなワクワクするような列車が企画され実際に走ったのである。日本一周と言えば、1988年のCIWL客車によるオリエント急行は、その極みに位置するものであろうが、このような超が付くようなビックイベントはもちろん、ミステリー列車の999号や東京ー大阪間を走った「つばめ」など、80年代のイベント列車はアイデア溢れる列車であったように思う。今は、その代わり、各地で蒸気機関車牽引列車が復活し定期的に走るのでそれはそれで嬉しいことではあるが...。

[追記]
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この列車を後ろから追った写真も出て来たのでスキャン。20系寝台列車は当時急行「銀河」ぐらいだったか? 今見てもナハネフの造形は無駄をそぎ落とした美しいデザインだと思う。

参考サイト:ゴハチ☆ヲタの昔撮り鉄・今模型鉄
http://blogs.yahoo.co.jp/hrydy613/

[EDIT]
2012-03-26 18:17
タグ:Ep.IV EF80 JNR 20系

鉄道復権 自動車社会からの「大逆流」 [日本の鉄道]

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今朝、Amazonから注文していた本が届いた。これは、LRTの普及に尽くされている宇都宮浄人氏執筆の新刊である。宇都宮氏とはLRTの関連でお付き合いがあり、この新刊が出ることを知り、早速手に入れた次第である。表題はタイトル通りであり、LRTだけではなく鉄道全般に渡って氏の今迄の研究活動の集大成と呼ぶべきもの。とは言え、この書は読み応えのあるページ数であり、まだ私も全てを読み終えた訳ではない。

序章の最初に記されている氏自らが体験したドイツベルリンの東西冷戦時代から壁の崩壊、そしてベルリン中央駅開業と目まぐるしく変わった90年代からの10余年は、私自身が体験した壁のあった時代の東西ドイツの空気感と重なり、それを共有出来たのが宇都宮氏であった。

この書では、日本と言う極東の小さな国が20世紀に世界でも稀にみる鉄道先進国になったいきさつ、一方欧州では衰退が激しかった鉄道の復権を成し遂げたかについて、そしてそれらの具体的検証にも考察されている。「鉄道」について非常に濃く深く掘り下げられた内容を、読みやすく理解しやすく纏められた良書であることに間違いない。

ここの序章で記されている「交通専門家であるほど欧州を見下すような意見を持つ傾向もある」との辛辣な意見は、私自身も体感的に的を得ているように感じる。私が知るドイツ人は一様に日本の鉄道の正確さや神業のような緻密な列車運用に驚くが、一方で単に人を捌くためだけにベクトルを向けていることを見透かされていることも彼らの言動で理解出来るのである。公共交通の本当の目的とは何か?という命題に対して日本と欧州の出した答えは明らかに異なり、それが今の日本と欧州の現状の違いと重なるのである。日本の鉄道は、ドイツの約10倍の利用者数と約1/3の路線距離という大きな違いもある。ただ、利用者にとっての快適な移動という点については、メンタル面の多少の差はあれ、同じ方向であるべきである。

この「違いとなぜ」を浮き彫りにしてくれるのがこの書であると感じている。まだ全てを読み終えていないので、言いきることは出来ないが、いち早くこの書の刊行をお伝えしたいためにここに記したということである。

最後に、「成熟社会の地域再生・日本再生を歴史的な経緯や欧州の鉄道の動向から考えたい」という氏のこの書に対しての意気込みをお伝えして紹介としたい。


タグ:Buecher
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鉄道デザインEx Vol.04 [日本の鉄道]

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昨日、上画像の「鉄道デザイン Ex」最新号の見本誌が届いた。今号は、予告通り鉄道という大きく裾野の広い分野の中でも車両同様に重要な役割を果たす「駅舎建築のデザインと機能」が特集である。よって今回車両は誌面にはほとんど登場しないが、本誌面では国内外の様々な駅建築について様々なアプローチからの考察を試みている。最近私鉄やJRでもようやく(もちろん全てではないが)画一的な駅から地勢的条件や地域文化に配慮した駅舎を考えるようになってきたのは前進である。
特に私はまだ1度も訪れたことの無い福岡地下鉄七隈線の駅については、ノイマイスターデザインによる車両もさることながら、この車両に乗車するまでのアプローチは是非一度体験したいと誌面を見て思ったのである。

一方ヨーロッパをはじめとする海外の歴史的駅舎への考察は、今迄鉄道趣味誌の領域外であったので、その深い内容は感銘深く、また刺激的でもある。特に欧州大陸では各国が鉄道で結ばれているので、旅客機が行き交う今と違って、唯一に近い長距離移動手段の鉄道駅の果たす役割は大きく、その国に触れる最初の場所となるだけに、単なる鉄道乗降以上の役割を担うことになるのである。それは、ドイツのハンブルク中央駅であれ、パリの各駅であれ、ミラノ中央駅であれ同じである。それぞれの駅は鉄道という媒体を通して人を移動し、そこから次のステップへ導くことと同時に、その場所の確固たるアイデンティティを印象づけさせるのである。その強さは建築後100年以上経った今でも変わることなく、時代と共に変化しつつ更に輝きを増すのである。

鉄道というのは、先に述べたように車両だけの世界ではない。それが介在する出発地点から目的地に至るあらゆるプロセス全てが関わっているものである。そこには駅舎にある全ての機能も含まれ、利用者が享受されるサービスが一元的であることが重要である。初めて利用する駅でちゃんとオリエンテーションでき、目的の列車に乗車することが出来、降車駅では次の交通手段にスムーズに移動出来るかどうか、そこに工業デザインを始め、グラフィック、建築など産業界の多くが関わることになる。これから日本のどの鉄道もこれらを一体的に纏めるための部署なりが必要なのではないか。

というのが、数十年前学生時代に自身のルーツを訪ねようと京都駅を降り立った私に全くオリエンテーション不可能と判断させたバスターミナルの不可解さがそういう思いを抱かせたのである。

なお、拙修行記は相変わらずドイツで一進一退。巻末を汚しているのでご興味のある方はついでにご笑覧の程。

なお、全国の書店店頭に並ぶのは27日とのことである。

以下アマゾンのアドレス:

タグ:Zeitschriften
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第2回 鉄道技術展 [日本の鉄道]

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朝から冷たい雨が降る中、幕張メッセに出掛けた。今日迄行われていた「鉄道技術展」を見るためである。昨年から始まった「鉄道」に特化した展示会であり、国内はもとより海外メーカーの参加もあるので楽しみである。出展数は昨年より増え、鉄道技術の裾野の広さとこの分野への感心の高さは目を見張るものがある。

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▲ 会場にひしめく各社ブースの中にフランスとオーストリアのブースが目立つ

会場ホール入口から全体を見回すと、多くのブースが出展しているが、フランスとオーストリアは国を挙げて共同ブースを形成している。フランスのALSTOMブースでAGVのパンフレットが欲しいと頼んだら、AGVのみのパンフは用意していないので総合パンフレットのみ頂戴した。ドイツは、各社独立したブースを立てていたのが、日本での国によっての違いが見える部分でもある。ただ、SIEMENSやボンバルディアなどの車両メーカーの出展がないのはちょっと残念でもある。

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残念なのは、この展示会のメインブースになるべき車両メーカーが川崎重工と近畿車両に留まっていることである。小さいながらもフランスのアルストームが出展しているのに対して、東急車両や日本車輌、日立製作所などの主要メーカーの出展がないのは、様々な事情があるとは思うが理解に苦しむところである。

上画像は、川崎重工の燃料電池式LRTモデルである。架線レスではなくハイブリッドで、回生機能もあるという。他に海外向け新幹線モデル(昨年と同じ)やE5系のグランクラスシート、またお年寄りや身体の不自由な人向けのアシスト機能付きシートのスタディなど、きめの細かいアイデアもある興味深い展示であった。

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今回のサプライズ?とも言えるのは近畿車両である。このデザイン重視とも言える車両のモデルは、一見LRTのようなイメージであるが、バッテリー駆動主体の電気式気動車である。天井には太陽光パネルを付け、エアコン室外機やエンジン排気口も含めてインテグレートされた屋根周りの造形は理想的である。

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一方、駅構内のアイテムは様々なアイデアが展示されていて充実度はこちらの方が上かも知れない。例えば、画像の機器は、沖電気のブースにあった切符売場に置く事を設定した乗換え案内サービスを提供するタッチパネル式の機器である。4カ国語対応でタッチパネルスクリーンを使って目的地で検索すると、時間や料金の異なる乗換え案内を示してくれる。プリントアウトも可能で、このようなサービスは歓迎されるに違いない。ただ、ドイツでは既に切符を購入する時点で乗換え案内はプリントアウトしてくれるので、特に目新しいアイデアとは言い難い。これは携帯電話やスマートフォンでの乗換案内を利用出来ない人や、外国人などには重宝されると思う。

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海外メーカーでモデルを展示していたのは、ドイツのVossloh社である。ここは各種レールの設置技術やレール削取機車両などのメーカーで、モデルはその車両のモデルである。なんとレールを削りながら80Km/hのスピードで作業をするとか?作業の様子を見てみたいと思うのだが、このモデルの前頭部のデザインは衝撃的である。と言うのは、特に前頭部は曲面を使ったりせず凝った造形をしている訳ではないが、存在感のある造形である。そして美しさも兼ね備えているところが良い。

この他にも、興味深い素材を展示しているメーカーも少なからずあったが、画像がないのでこのくらいにしておく。

午後から「路面軌道事業者の新技術への取り組みについて」という講演を聴講したので、あまり長く展示を見て回れないという事情もあったが、昨年同様訪れて良かったと思える展示会であった。講演は、LRTで話題の富山市と新しい路面電車導入に積極的な熊本市交通局の講演があり、興味深く拝聴させて頂いた。欧州のLRTに学んで追いつきたいという思いはどこも同じであるが、技術以外の部分でまだまだ高い壁が立ちはだかっていると深く感じた講演でもあった。それは世界に誇れる技術を持っているだけに尚更である。

2年おきになる次回の「第3回 鉄道技術展」は、同様に2年おきに開催されるドイツ・ベルリンの「イノトランス」に合わせる形で、来年はイノトランス、再来年は鉄道技術展ということらしい。
タグ:MITJ
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IKAHODENSHA 上州を走ったトラム [日本の鉄道]

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以前、当ブログで伊香保と渋川、前橋、高崎を結ぶ路面電車の写真について、田部井氏の写真展を1度紹介したことがある。
先日行われたドイツフェスティバルの初日に、前回に続いてその田部井氏が訪ねてくださった。しかも、この時には以前東武博物館で催された彼の写真展のカタログをお土産に頂いたのである。

彼の作品については、今更ここで述べる迄もないが、昭和20年代から彼は自身の地元である高崎を始め、その近隣の鉄道を撮影されている。そして今では、彼の多くの写真が貴重な資料として鉄道趣味誌に留まらず、様々な媒体で見る事ができる。
ドイツフェスティバルでは、あまり時間がなく彼とゆっくりお話することが叶わなかったが、わざわざ訪ねて来て頂き、お元気でご活躍のご様子で嬉しかった。

さて、頂いた本はおそらく市販されているものではないと思う。この本には、私が生まれる少し前迄高崎でも走っていたトラムの写真をおさめたものである。当時は、まだまだ自動車など庶民の持てるものではなく、いわゆる足として日常使われていたもの。ただ、自動車の発達に伴い、廃線になってしまったのは充分に理解出来る。何故なら、路面も線路の状態も悪く、車両も乗り心地など今では考えられないほど酷いものであったことは容易に想像出来る。良く脱線もしたらしいし、ビューゲルによるトロリ集電は外れてしまうことも間々あったろう。従って速度も知れている。自動車の方が快適である。さらには運営も赤字続きだったと聞いている。

しかし、この写真集を見ながら感じるのは、それこそクルマの少ない通りに路面電車と歩行者がゆったりと移動している姿である。ここから見えるのは我々が得たものと同時に見失ったものである。この見失ったものこそ私達が求めているものではないだろうかと思うのである。ここ高崎に限らず多くの地方都市は中心市街地が空洞化に悩み苦しんでいる。ここにもし、しっかりした路盤に状態の良いインシュレーターのついた線路、大型で快適、スピードも出るトラムがあればどうであろうか。集電も今や架線レストラムも実用化されている。そして中心商店街はトランジットモールとなれば、再び市内に活気が蘇る...そう思うのである。

もちろん、そのためには様々な問題が立ちはだかっている。それらを全て考え合わせても「まちづくり」の目で捉えれば、個性的で住みやすい街になれるのではないか..と、この写真集にある我が家の近所の様子を見ながら思うのである。
そのためには、まずこの街に住む人々の新しいトラムに対するコンセンサスを取る事が最も大切なことである。

参考サイト:お薦めの写真集『上州を走ったトラム 伊香保電車』。/ 編集長敬白アーカイブ
http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2008/04/post-742.html
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C61 20 復活展示会 [日本の鉄道]

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ゴールデンウィークの最後の週末の土曜日、何げなく見たJR東日本高崎支社サイトで先頃復活したC61 20が営業に先だち高崎と水上で展示会を行うとのこと。日本の鉄道には趣味的には興味を失いつつあった私も、このC61の復活には興味があったので、折角の展示会が徒歩で行ける距離にあることを知り、一人で展示会場へ行って来た。

上の画像は、会場入口で貰ったウチワの機能を果たすC61のパンフレットである。入場もこのウチワももちろん無料である。会場へ入ると左右に地元農産物の直売場とSL関係グッズの販売コーナーなど、既に少なからぬ人出である。ただ、気分が悪くなる程の込み具合ではなかったのは良かった。まず正面には12系客車編成があり、これは休憩室兼トイレだそうである。その手前に見えるのは...、

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EF64 1001(茶色)である。この機関車デビュー当時から青色ではなかったかな?旧型客車と色を合わせるため?

そんな疑問を抱きつつ12系客車を過ぎると、かなり先にC61の姿が見える。

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ここも結構な人出が既にある。が、やはり昨今のさよなら運転などのホームとは違って、私自身は許容範囲の混み具合である。
で、機関車のあるほうにひたすら歩く...。すると、機関車には火が入っているので蒸気が上がり、インジェクターなどのサウンドが聞こえる。(ここでサウンドと記してしまうのはメルクリンモデルのファンクションに毒されているためであろう..)蒸気機関車の魅力は、その佇まいや機械的造形が全てではなく、火が入ったときの活き活きとした姿があってそれは倍増するし、もしかしたらそれがあるからこその魅力である。機械でありながら生物的な感覚とでも言おうか。特に蒸気機関車は走らずとも、充分にその魅力は伝わって来るのである。この魅力は洋の東西は問わない。
機関車から10mぐらいだろうか、ロープが張ってあり、その先端部分で横に3重ぐらいの撮り鉄がカメラを機関車に向けている。私も折角来たのだからその最後部に並びカメラを向ける。

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5分ぐらいで最前列に来る事が出来、撮影をする。EF55と並んでいるので並びの写真とC61のみの写真である。

私も5分程度撮影して後ろの人に譲り、こんどは反対側の角度から撮影。反対側にはDD51がいる。

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一応これで撮影は満足して帰路についたのだが.....、なんだか「撮影出来て満足♪」という気分以上の何も感じなかったのは、やはり欧州鉄故であろうか?なんてことを考えつつ帰路についたのである。確かにこれがC61でなく、BR03やBR01だったら私のアドレナリンの分泌具合は、比較にならない程高いものであっただろう。

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そんなことを考えつつ家に着いてちょっとドイツに居た時の事を思い返してみた。そう言えば、1990年にKarlsruheに居たとき、ケルンの操車場で行われたFahrzeugausstellung(車両展示会)なる催しに妻と出掛けたことを思い出した。(上画像はその時のパンフレット)
カールスルーエからケルンに行くのだから、結構な時間が掛かった訳だがそれでもいきたいと思ったのは、当時のDBの車両が蒸気機関車から最新のICE-Vまで勢揃いするからである。お隣NS(オランダ国鉄)からもいくつかの車両が来るということもあって、実は大学のレポート課題(エルゴノミクス)の資料集めということも兼ねていたのを憶えている。

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▲ 展示会場のBR01 118。ワーグナーデフ付き01形原形保存機である

展示会に到着したら、それは沢山の機関車に会う事が出来たのは言うまでもないが、そのスケールの大きさに圧倒され、その自由さに感激したのである。蒸気機関車に火は入っていなかったが、キャブに乗る事もできたし、ICE-Vの車内にも乗車できた。とにかく好きに写真を撮る事ができたのである。もちろんレポート課題の調査もできた。この時もそこそこの人出はあったが、会場が大きいので待つ事もなくとにかく自由であったのが印象深かった。この時の模様は、また機会があれば記したいと思う。

そこで改めて今回のC61展示会について思い返してみると、確かに多くの撮り鉄が満足出来るように主催者側は良く配慮したものと思う。ただ、それは限られた範囲でのことであり、今回時期的にも親子連れも少なくなく、小さな子供も含めて満足の出来る展示会にする努力も必要かな?と感じた次第である。やはり私も撮って満足より、機関車の至近で感じて満足できた方が良いと思う。一方で、もしロープなど張らずに自由にしたら、現場では撮り鉄の怒号が飛び交う事態になる可能性も高い。そう考えると、今回の展示方法は限られた中ではベストの方法だったのかも知れない。夏から行われるであろう営業運転時にでも至近でC61の息づかいを感じれば良いのだから...。
タグ:C61 DD51 EF64 JR BR01 DB